企業分析アナトールの株式投資

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結果解説【6541】グレイステクノロジー

結論

グレイステクジーの不適切会計のメインは「架空売上」と「仮装入金」であった。。架空計上だけならまだしも、仮装入金までされたら普通見抜けません。。

 

目次

 

前置き

11月に分析したグレイステクノロジーの不適切会計ですが、中間報告でほぼ全容が見えたようなので答え合わせをします。

発表された不適切会計の要点

不適切会計の内容

  1. 架空売上の計上(役員による仮装入金を実施)
  2. 売上の前倒計上
  3. 架空外注費の計上
  4. これらを可能にする偽装工作

1の架空売上計上の影響が以下

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2の売上前倒計上と3の架空外注費による影響額は現在も調査中という事ですが、性質からしてそこまでのマイナスインパクトはないのではないかと推測します。

ともあれ、直近2021年3月期売上の半分以上が架空というのはかなり衝撃的です。。

 

分析の答え合わせ

答え合わせですが、先ず最初の分析で私が可能性を指摘したのはHOTARUの粉飾という可能性でした。これはハズレですね。少なくとも今回の不適切会計とは無関係かと。

続編では架空売上の仮説は立てたものの、「当たった」とドヤれるかというとそんなわきゃない。

そもそもが架空売上の可能性も他の人のTweet見てその可能性に気付いたわけですし、結果も想像通りどころか想像以上でした・・・。

一番驚いたのは役員による仮装入金です。

実を言うと続報解説の時にその可能性に気付かなかったわけではありません。

以下の部分で、私が考えた可能性が役員の仮装入金でした。

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(ボかしたつもりですが鋭い読者さんには感づかれてTwitterで指摘されました)

創業者の亡くなった後すぐに粉飾の話が持ち上がった事や、自社株を売却していたという話から立てた仮説でしたが、そこまでする動機がさっぱり分からなかったので、書きませんでした。まさか本当にやってるとは思いませんでした。。普通の感覚ならあり得ない話なんですよね。。そんな事をするメリットが全くわからない。

倒産直前まで追い込まれた企業経営者が自分の資産を切り売りして、というのならば気持ちは分からなくはないです。しかしグレイステクノロジーは架空売上を除いても十分黒字になりそうな気がします。見栄を張って、周囲からチヤホヤされたかったという可能性もあるでしょうが、そんな事のためだけにいずれバレる事が明らかな粉飾に個人資産をぶち込めるのか。。本当に経緯が分からない・・・。結果が出ている以上は事実なのでしょうが、なんというか人間のカオスを垣間見た気がしております。

事情を知っている方がいたらコメントプリーズ。

今後どうなるのか

公表された資料によるとグレイステクノロジー上場廃止となる可能性が出てきた模様。

東京証券取引所上場廃止基準により、四半期レビュー報告書を添付した2022年3月期第2四半期報告書を、延長承認を受けた法定提出期限である2022年1月17日の経過後、休業日を除き8日目の日である2022年1月27日までに提出できなかった場合、当社株式は整理銘柄に指定された後、上場廃止となります。

私もあまり上場廃止になるとどうなるかは知らないので、調べてみると、上場廃止しても会社さえ存続するならば一応株主としての権利は残るようです。

上場廃止の株はどうなる?過去の事例と再上場した場合、株価をかんたん解説! | LIVE出版オンライン(お金のトリセツ)

グレイステクノロジーの分析をしたとき、私はある程度同社のキャッシュフローもあるという事で、バッファも含め株価が200円を割ったら購入を検討しようと考えていましたが、架空計上額が想定よりも大きかったので、考え直しています。

上場廃止した企業がどういう扱いになるのか、勉強になるかもしれませんから、もしここからさらに暴落するようなら、少しだけでも買っておくのもアリかな、と思ってます。

今後に活かせるか

今回のお話、同じ事があれば見抜けるか、というとかなり難しい気がしてます。

今回の不適切会計の可能性の指摘は外部からあったということですが、普通に考えれば続報解説の2020年までに膨らんでいた売掛金の滞留期間から怪しんだ人が指摘したのではないかな、と。そこくらいしか怪しめる部分ないので。。

ですが、この売掛金滞留期間という指標には問題があり、私が2021年の数値を見て見落としてしまったように、売掛金が年度末に残ってなかったら外部の人間は気づけません。。つまり、役員が過去から期中に架空売上立てて仮装入金したら、数値追うだけじゃ絶対気づきません。普通にお金が入ってたら売上先なんてほとんど意識しませんから、もし、役員がガチで隠そうとしたら隠せてしまうはずです。。(そんな事してまで架空計上するなんて普通考えないですけど・・・)

監査法人がこの話をどこまで知っていたのか分かりませんが、役員が個人資産を仮装入金するほどガチで隠していたなら、監査した会計士ですら気づけない可能性もあるんじゃないかと。だとしたら会計士にしてみたらもらい事故みたいなもので、ご愁傷様です・・・(合掌)

今回は、「不適切会計があるよ」という答えがあって分析したので、推測はある程度立てられたかもしれませんが、何も情報無い状態で資料を見て粉飾を疑うのはかなり至難ではないかと。

本当に・・・こういう事があるから集中投資は避けた方が良いんでしょうね。

 

当ブログは特定の株式の投資を推奨するものではありませんが、一方で買わない事を推奨するものでもありません。空売りを考慮に入れれば、どっちもポジショントークになる可能性ありますし。

あくまで投資家さん自身がリスクをきちんと把握するのをお手伝いできればいいな~というのが当ブログの趣旨です。読者の方は悪しからずご了承ください。

 

 

 

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