企業分析アナトールの株式投資

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マンガ記事⑩飲み会~あふたー株式会社~

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一コマ目

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2コマ目

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3コマ目

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4コマ目

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5コマ目

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 漫画解説

今回の漫画は会社内での合理的議論のお話です。飲み会に関わらず、新人が会社の体制に意見を出して通る事は普通の会社ではそうそうありません。そもそも何か意見一つあげるにしても、それなりの会社であれば「先輩」「課長」「部長」「役員」「社長」という風に上長に稟議を回していかねばならず、ほとんどの案件は途中で挫折するのがオチです。あふたー株式会社のように、新人の意見が社長まで届くなどという事はまずないと思って良いでしょう。だがしかし、実際にそういう仕組みづくりに成功している会社もあります。

それがキーエンスという会社さんです。

https://www.keyence.co.jp/company/sustainability/workplace.jsp 

時価総額では日本で2019年時点で3番目と言われている企業でありながら、いや、だからこそ、というべきか、この会社では様々な伝説があります。その中にこんなものがあります。

「エレベーターの入り方に順番一つのエレベーター内に若手社員や年輩の社員、あるいは役員も同乗していたとする。ドアが開き、最前列にいた若い社員が後ろに控える目上の人を気にするふうもなく先に降りた。一見、たいしたことではない光景にも映るが、一部の社員が問題視した。いわく「先に降りずに、目上の人が先に降りるまで待つのが一般的マナーなのではないか」と。しかし、最終的に社内で下された判断は「出口に近い社員が先に降りるのは自然な行為であり、逆にお偉いさんを先に降ろすような行為は階層意識につながる」というものだった。

https://matome.naver.jp/odai/2142529490298623801/2142529784702714603

 

例に出したキーエンスという会社の伝説については以前まとめているので、宜しければご参考ください。

 

www.freelance-no-excelyasan.com

 

重要なのは、結論もさることながら、そんな些細な事案にすら議論がなされ、合理的な結論を全社で共有できる文化です。

例えばですが、他の会社で同じ疑問を持って問題提起した社員が居たとします。そこで「そんな下らない話、今はどうでもよいだろう」

「そんな話をするほど暇なのか?」

「そんなの一般常識だろう」

そんな言葉をぶつけられ、問題提起に対して議論すらされなかった場合、問題提起した社員はどうするでしょう。私であれば馬鹿馬鹿しくなり、二度と問題提起をしません。本人だけでなく、他の社員もその様子を見て口を噤むようになるでしょう。そうなれば後は転げ落ちるように風通しは悪くなり、会社は非合理になっていきます。

問題提起されないor無視される

→問題はあっても見て見ぬふりで議論しない事が常態化

(どうせ何も変わらないなら議論の時間を取らない方が合理的)

→問題はそのままに、トラブルを起こさず現状維持できる人材が評価される

→問題を起こさない事が最優先の人材が台頭することで保守主義が蔓延る

→問題提起されないor無視される・・・

大企業病の一つである、風通しの悪さはこうして培われます。短期的な損失はすぐ治る怪我のようなものですが、非合理な企業文化を持つのは慢性の病を抱えるようなものです。

では、この病はどうすれば治るのか。

 

隗より始めよ

大事業を始める時は卑近な事から始める事を「隗より始めよ」と申します。もし企業文化を正したいのであれば、先ずはどんなくだらない話であっても、トップマネジメント自身が一つ一つ合理的な結論を出して行くことが、合理的な企業文化をはぐくむ一つの手段です。

例えば、「社員がイヤホンで音楽を聴きながら仕事をするのは是か非か」や、「朝挨拶をするのは必須か」といった卑近な疑問から入り、全てにおいて議論して結論を出します。そうすると社員は「(そんな問題提起で良いのなら)実はこんな事がありまして・・・」と自然と意見が出るようになってきます。

最初は面倒かもしれません。「そんな事、当たり前だろ」の一言で済ませる事は簡単です。しかし、これは長い目で見て、トップマネジメントのためになるのです。何故なら、そういった問題の判断が一貫していて、基準となる考えがあれば、細かなことにいちいち判断を仰がずとも、自然に下の人間はトップの意を酌んだ行動ができるようになるのです。これこそが企業文化の効能です

企業文化が完成している会社は、どれだけ会社の規模が大きくなっても、効率的、自発的に動くので、意思決定に時間がかかりません。社員の誰に聞いても文化が浸透しているため、社長がどういう判断をするのか推測ができるからです。

逆に企業文化が一貫しておらず、経営判断がその時の経営者の一存で決まり、ブレてばかりいる会社は、いちいち判断の責任在処を決めなければなりません。そのために意思決定が無際限に複雑に、かつ保守的になっていくのです。

 

総括

会社が良くなる第一歩は、企業文化の改善に尽きる。そして企業文化を醸成するには、トップマネジメントのブレない指針を卑近な例から順を追って社員に伝える事である。

 

漫画リンク

www.freelance-no-excelyasan.com