企業分析アナトールの株式投資

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エクセル屋さんのお話②~エクセルで決裁書の起案を簡単にした話~

f:id:umimizukonoha:20200401230204j:plainさあ!ここではマンガの本編で全然活躍しない私が、エクセル屋のお仕事を解説していきますよ!

f:id:umimizukonoha:20200401230257j:plainよろしくお願いします!

f:id:umimizukonoha:20200401230204j:plain今回は決裁書起案をエクセルで簡単にしたお話をします。

f:id:umimizukonoha:20200401230257j:plain決裁書ですか?私も決裁書はよく書きます。色々と様式にルールがあって地味に大変だったりしますよね。。私、正直苦手です。

f:id:umimizukonoha:20200401230204j:plain仰る通り、決裁書はある程度決まったフォーマットがあります。それは、社内で過去の意思決定の経緯を確認したり、何らかの理由で外部からの調査が入った場合、経緯を分かりやすく残すためです。意思決定の証拠となるものが、毎回表現が違うと見辛いですし、いろんな解釈ができる表現では読んだ人が曖昧な印象を受けます。

f:id:umimizukonoha:20200401230257j:plainなるほど、細かいルールやフォーマットがあるのにはちゃんとした理由があるのですね。

f:id:umimizukonoha:20200401230204j:plain私が改善したのは、大手製造業の会社さんです。その会社さんはペーパーレスが進んでいて、決裁書は紙ではなく電子決裁のシステムを導入していました。ざっくり以下のような仕組みです。

①決裁内容を記載して回議先を設定する。

②回議をクリックすると、各権限を持つ人に転送される。

③最終決裁者が承認するとデータベースに保存される。

f:id:umimizukonoha:20200401230257j:plainへ~そんなシステムまで作っていたんですね。製造業はペーパーレスとかを進めにくい印象がありましたけど、さすがは大手企業ですね。これに何か問題があるんですか?

f:id:umimizukonoha:20200401230204j:plain確かに、回議される流れは問題ありません。ここで多く発生していたトラブルは、もっと根本的なお話で、「決裁内容に間違いが多い」というものでした。実はこのシステムは、電子決裁することはできるのですが、肝心の決裁内容は全くの白紙からすべて手入力する必要があったのです。

その結果、例えば以下のような起案トラブルが起こります。

・漢字の誤り、「てにをは」の誤り、句読点の抜け漏れといった初歩的ミス

・数値にカンマが入っていない(〇500,000⇒×500000)

・記載する情報が誤っている(番号などの入力ミス)

3つ目は勿論却下ですが、その会社さんでは1つ目、2つ目についても管理部門の社員が一つ一つチェックしていき、もし問題があれば修正して出し直させたりしていました。

f:id:umimizukonoha:20200401230257j:plainうわ~。私も間違えそう・・・急いでいる時とか特に。。

f:id:umimizukonoha:20200401230204j:plain基礎的なミスだけではありません。同じ目的の決裁を起案する時も、固定されたフォーマットが認知されておらず、意味が分かれば良し、と従来から様々な書き方が容認されていました。しかしこれは、起案する側もチェックする側も、毎回表現の方法に神経を使わなければならず、二重のロスになります

特にこの会社さんは規模の大きな企業なので、入社したばかりの人も多くいますから、誰もが決裁書の書き方を知っているとは限りません。そこから発生する起案ミスの数々を管理部門の人が何度も添削して差し戻すということが慢性的に起こっていたのです。

f:id:umimizukonoha:20200401230257j:plainう~ん・・・ちゃんと起案ルールを覚えて間違えなければ良いだけ、とも言えますけど、本当に忙しい時にそんなところまでダメ出しされてしまうと、気が滅入っちゃいますね。

f:id:umimizukonoha:20200401230204j:plainその通りです。そこで私が提案したのは、エクセルで決裁書の起案内容を自動作成するツールです。

f:id:umimizukonoha:20200401230257j:plain自動作成?

f:id:umimizukonoha:20200401230204j:plain具体的な例を挙げますと、例えば経理の「固定資産廃棄」の決裁があります。固定資産の廃棄決裁に必要な情報は

A資産番号

B資産名称

C取得価額

D帳簿価額

E取得年月

F廃棄理由

G廃棄方法

H廃棄予定時期

といったものがあります。

従来は決裁を起案するとき、起案者は固定資産台帳等を確認しながら、A~Hを手入力していました。そしてその過程で前述のようなミスが頻発していました。

しかし、よくよく考えてみれば、B~Eの情報はAさえ分かれば全て固定資産台帳から自動で持ってくることができます。つまりA、F、G、Hの情報さえ分かれば、後は決裁書の内容は自動作成ができてしまうのです。

というわけで、私がやったことは以下です。

①A、F、G、Hの情報を起案者に質問するエクセルフォーマットを準備

②①の情報と固定資産台帳を紐づけ、決裁起案文面を作成するエクセル関数を構築

③関係者にエクセルの使い方を説明

これによって、起案者はA、F、G、Hの入力だけ間違えなければ、完成した文面をコピペするだけで正しい起案をできるようになりました。チェック者も様式が固定ですから、その4つの点だけに着目してチェックすることができるようになりました。

f:id:umimizukonoha:20200401230257j:plainお~これは助かりますね。。

f:id:umimizukonoha:20200401230204j:plain実際、それを導入してからのミスはゼロになりました。

入力、チェック、差戻しの作業時間って地味に社員の時間と神経を削るんですが、その実会社にとってはあまり価値を生んでいない活動です。これを削減できるのは規模が大きければ大きいほど、強力な改善になるのです。

f:id:umimizukonoha:20200401230257j:plain確かに、売上を劇的に増やしたり、原価をすごく下げるみたいに目に見える成果ではないですけど、現場のストレス的には大幅に下がりますね

こんなちょっとした工夫でできてしまうなら、どんどんやるべきですね。

f:id:umimizukonoha:20200401230204j:plainただ注意してほしいのは、今回の説明は大分簡単にしてあるだけで、行動に移すのは簡単ではありません。実際にはその会社さんでは、その廃棄の種類に応じた決裁書の書き方が4種類あって、適切な書き方が自動選択されるような仕組みを作ったりして、作りこむのが結構大変でした。ユーザーがシンプルに使うためには、先ずロジックを作りこむ必要があるので、決して単純な作業ではないです

実際、私が作ったのを真似て同じようなロジックを作った人がいたのですが、完成品に無駄が多すぎて導入した現場が理解できずに混乱した、ということもありました。同じものを作ろうとしても、ロジックの作りこみが甘いと逆効果になる可能性があるということです。

なので、似たものを作る挑戦して頂くのは構わないのですが、できれば最初だけは、私のようなフリーランスにひな形を任せてもらい、それを担当者が自社に合う形にカスタマイズしていくのをお勧めしてます。カスタマイズだけならば勉強しながら誰でもできますし、気に入らなければ採用しなければよいだけなので、挑戦するなら先ずはフリーランスにやらせてみる、というのが最も簡単で確実だと思います。

f:id:umimizukonoha:20200401230257j:plainなるほど、「業務改善考えるなら先ずはご相談ください」ってことですね!私も何か考えてみて、エクセルでできそうな案があったらエクセル屋さんに相談します!

f:id:umimizukonoha:20200401230204j:plainありがとうございます。案件によっては私の工数的に受けきれない場合もあるのですが、初回相談は無料ですので、いつでもご相談ください~