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【就活生必見】レナウン破綻から学ぶ、危ない会社を避ける分析方法

この記事は、主に就職活動中の学生向けの記事です。

就職活動中の学生にとって企業の財務分析はとても重要です。先日大手アパレルのレナウンという会社が破綻しましたが、同社は「長い歴史のある」「上場企業」でした。就活生の中には「長い歴史のある」「上場企業」といった言葉に惹かれる方もいるとは思いますが、そういった肩書は何の保証にもなりません。どれだけ美辞麗句を並べても、稼げていない会社は潰れます。

頑張って内定を取れたとしても、その会社がすぐに潰れてしまっては意味がありません。効率的な就職活動をするためにも、最低限のチェックはエントリーシートを出す前に済ませておいた方が良いです。

そこで今回は、破綻したレナウンを例に、誰にでもできるほど簡単に、しかも確実に会社の財務状態をチェックする方法をご紹介します。

ポイントは「会社の利益ではなく、キャッシュフローを見る」という事です。

 

目次

 

資料の紹介「有価証券報告書

分析に使う資料は「有価証券報告書」です。この資料は投資家や債権者向けに企業が出している財務資料です。規模の大きい会社や上場企業は基本的にこの資料を公開する事が義務付けられていますので、もし希望する会社があったら、先ずこの資料を公開しているかをチェックしてみて下さい。

 

資料の閲覧方法(手順)

有価証券報告書は、企業のホームページにIRというページがあれば、そこに載せている事もあります。ただ、確実なのは金融庁の公開しているEDINETです。ここではオーソドックスにEDINETでの検索方法を記載しておきます。

 

①EDINETのページを開いたら書類検索をクリック!

 

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②調べたい会社の名前を入力して検索

 

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③提出日時が新しい書類から表示されるので、直近の有価証券報告書をクリック!

 

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④別ウィンドウが開き、左側の目次をクリックすれば好きな情報を見る事ができます。今回は、「主要な経営指標の推移」を開いてください。

 

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利益だけではその会社の本質は見えない

さて、開いてみると、主要な経営指標の推移が5年分並んでいます。

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普段、投資や会計に縁のない人は「利益」の数値に着目します。マスコミも、経常利益~%増、最終損益赤字転落、包括利益~%減、といった具合に利益ばかりにフォーカスしています。しかし、実は利益だけでは会社の本当の姿は見え辛いのです。

実際、レナウンの場合は2018年2月まで、経常利益は黒字をキープしており、経常利益だけを見ていると、どうにか踏みとどまっているようにも見えます。もし2018年2月までの利益しか見ていない人は、「ちょっと苦しいのかな・・・でもとりあえず黒字ではあるし、俺が頑張って立て直してやるか」くらいの認識だったかもしれません。しかし、おそらく内実はそうではなかった筈です。

キャッシュフローを見れば一目瞭然

同じく主要な経営指標の推移の下の方に目を移してみて下さい。

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企業の財務状況を見るのに最も重要なのはこのキャッシュフロー3つです。この3つの数字はCF(キャッシュフロー)計算書という資料の数値で、会社のお金がどのように流れているのかを表す数値になります。それぞれの意味は以下の通りです。

営業活動によるCF=売上で入った金ー仕入や経費で出た金 等

投資活動によるCF=設備等の売却した金ー設備等の購入する金 等

財務活動によるCF=銀行からの借入金ー銀行への返済や株主配当 等

特に重要なのは営業活動によるCFと、投資活動によるCFです。この二つを合算した数値をFCF(フリーキャッシュフロー)と呼び、実質会社が自由に使う事のできるお金という意味で、会社の本当の利益であると言えます。ここが赤字の会社は、会社の存続のためのお金を、銀行借入や手持ちの現金に頼るしかありません。

レナウンの数値を見てみれば分かりますが、2016年からずっとこのFCFが赤字続きで、財務活動によるCF(銀行からの借入)や手持ちの現金を減らしながら凌いでいます。

つまり、2018年までのレナウンという会社は一見利益をあげているように見えて、実は儲かっていなかったのです。2019年になって一気にそれが損失に反映されました。

利益は意見、キャッシュは現実

本来、利益もキャッシュも、長い目で見れば一致するものです。売上を計上すればお金が入ってきますし、費用が発生すればお金は出ていきます。しかし、上手くいかなくなる会社というのは、売上を計上してもお金が回収できなかったり、売上よりも支払の方が多くなったりします。そうすると、売上の利益とFCFが段々と乖離していきます。

レナウンが破たんした直接の理由は、親会社に対する売掛金が回収できなくなった事によるものです。売掛金が計上されたタイミングで売上は計上できますが、キャッシュは入ってきませんからキャッシュフローには出てきません。なので、レナウンのケースで言えば、キャッシュフローさえ見れば、そういった回収できていない売上に惑わされることはなくなるのです。

まとめ

以上が、就活生が最低限押さえておきたい会社の財務分析の方法です。

会社というのは、損益が赤字でも、お金さえ無くならなければ基本的に潰れません。あの世界最強の企業とも呼ばれるAmazonに至っては、創業以来ずっと赤字のまま株式上場を果たしています。そのビジネスの将来性に賭ける投資家や銀行がいたので、利益を出さずとも外部からのお金だけで成長を続ける事ができたのです。

逆に、お金が尽きてしまえば、どれだけ黒字であっても会社は倒産します。だからこそ、お金がどのように回っているのかは、会社を選ぶ上で最低限押さえておかねばならないポイントなのです。

会社の存続を占う上では、「会社の利益ではなく、キャッシュフローを見る」のが基本であり最重要ポイントなのです。

 

f:id:umimizukonoha:20200401230204j:plain当ブログは企業の課題や理想を考えてマンガにしたり、企業の分析を記事にしたりしているので、もしご要望があり都合が付けば、企業の財務分析などもやろうと思います。奮ってコメントください。

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