結論
数値は悪くないが、政治的な匂い・・・
目次
事業概要
先ずはカナミックネットワークの事業についてです。
~中略~
読んでいただければ分かりますが、事業内容が大局観から書き始め、個別のサービスまで細かく記載されているため、凄まじく長いです。事業への情熱が熱すぎるのか、或いは煙に巻こうとしているのか。。
私がきちんと理解できているかは怪しいですが、ざっくり言うとサービスの種類は3つのようです。
①医療・介護・育児の現場に特化した情報共有クラウドサービス
②コンテンツサービス(インターネット広告、ホームページ作成サービス)
③その他サービス(大口顧客向けカスタマイズ開発等)
ただ、いずれも医療・介護・子育ての現場を事業領域としており、顧客やターゲットは全て同じようです。私の個人的な心象としては、カナミックネットワークは「医療・介護・子育ての情報共有をお手伝いするエンジニアさん」といった所でしょうか。
いつもならここで、セグメント売上(業種ごとの売上)の状態を確認しますが、事業内容の要約の最後も記載がありますが、同社は上記3つのサービスを同一顧客に対するサービスとしてひとまとめとしているため、セグメント別はありません。
別に分けて管理する事は必須ではないですし、情報共有プラットフォームを構築という目的では一つです、と言われればまあそうですね、という感じなんですが、あれだけ事業について詳細に書いていたのにセグメントは一つ、というのは若干肩すかし感があります。
業績推移
売上高は順調に伸びていますし、経常利益率の推移は23.4%⇒22.3%⇒25.6%⇒25.3%⇒32.6%と中々の高水準です。
上場企業にしては売上の絶対値が若干小粒だからという点はありますが、利益率は上々だと思います。
私は企業の体質を見る際に、常に効率の観点を入れるべきだと思います。企業というのは効率を常に効率を意識しないと規模ばかり追うようになり、最終的にはリスクだけが肥大化した組織になりかねないからです。
なので、目標とする経営指標が「営業利益」という部分は個人的に不安ではあります。
ただ、そもそも同社はまだ売上高17億円であり、上場企業にしてはまだ規模は小さいという点も考慮する必要があります。
成長中の企業と成熟した企業ではステージが違うので、掲げるべき経営指標も違ってきます。私が上場企業に効率を求めるのは、組織というのは大きくなればなるほどに非効率になる性質を持っているからです。
それはランニングマシンの上を走っているようなもので、何もしなければどんどん非効率に流され、利益率は落ちてコストは増大します。だからこそ大きな会社を管理する経営者は、常にコスト意識や効率を忘れてはならないのです。
その点で、カナミックネットワークはまだ成長途上であり、そこに効率を求めると積極的な投資もしにくくなる事も懸念されます。よって、長々と書きましたが、経営指標が絶対値であることも、特に今の時点では問題ないのでは、と思います。
キャッシュフロー
キャッシュフローも上々です。フリーキャッシュフローはずっと黒字ですし、現金及び現金同等物も増えていってます。
キャッシュフローについて懸念は無さそうです。
B/S(貸借対照表)
貸借対照表もきれいなものです。
全資産の中で現金及び預金が66%を占めてます。システム系の会社ならではですね。
強いて言えば、投資その他の資産が多種多様で、破産更生債権とか、敷金及び保証金が結構あるとか、思わず突っ込みたくなる点はあるのですが、金額として全体の5%ですから、まあ、大勢に影響はない気がします。
前年まであった有利子負債を完済してます。
これで事実上の無借金経営です。財務体質としては悪くないどころか優秀ですね。
気になった性質的な情報(解釈は分かれる)
ここまで見てきた数値情報だけなら、カナミックネットワークはかなりの優良企業だと思います。ただ、怖いのは同社が成長途上の会社という事です。成長途上の会社というのは過去の業績だけではその体質は測れません。規模が小さいためちょっとしたメンバーの加入や経営者の気分で状況が一変することもあります。
そういう点から、今回は定量的な数値を追うだけでなく、多少主観が入る事を覚悟の上でもっと踏み込んだ部分も見ていかねばならないと思います。
今回は3点、気になった部分を挙げます。
①従業員給与と勤続年数
平均年齢が39歳で平均給与が500万円弱というのは少ないように感じます。
また、平均勤続年数が4.5年というのは短すぎないでしょうか。
沿革を見るに元の会社ができたのは2000年ということで20年前です。
にも関わらず、平均勤続年数が5年未満というのは、考えられるのは
①直近で大量に新人を採って平均勤続年数が下がった
②人が物凄い勢いで出入りしている
のどちらかです。
なので従業員数推移を見ると
う~ん変わってません。。①の場合は新人が一気に増える筈なので人は増えてないとおかしいです。という事は②ではないかと思われます。
平均年齢に対してあまり高くない給与、短い平均勤続年数、という事から職場環境があまり良いとは思えません。
②大株主の状況
ありがちではありますが、創業者の一族が株を50%以上握っています。
筆頭株主の株式会社SHOというのは創業者の山本稔氏の会社のようですから(以下役員紹介参照)、実質山本稔氏の株式保有率は31.34%、ご家族と思われる方々を合わせると、山本一族で57.58%を握っています。
まあ、一族が株を持っていたって、企業経営上がフェアであれば構わないんですが・・・
こういう役員報酬の決め方をしていると、どうやったって創業一族への忖度が働くと思います。一応社外取締役がついてますけど、過半数の議決権を持っている一族に対して、「あなた貢献してないから減俸ね」って言えますか普通。しかも目の前に議長(ご本人)がいるんです。言えるわけないです。
また、役員の選び方も偉い順に山本姓独占です。
フェアに選ばれているとは正直思えないです。
こういった時一番マズいのは、この4人の実力云々以上に「自分たちはフェアに評価されていない」と社員のモチベーションが低下することです。
もし仮にこの4人が非常に優秀で、事実として彼ら以外に役員を務められる人材がいないという状況であったとしても、社員は決してそうは見ません。人の実力など明らかにわかるものではないですし、見る側によって評価は変わります。そんな曖昧なものだからこそ、せめて選別方法は「概ねフェアである」という認識が、社員のモチベーションには重要になるのです。
血縁による役職の独占は「仮に能力に見合っていても」やるべきではないと私は思います。
③随所に感じる政治的な匂い
文章を読んでいると、何となくその方の頭が覗けてしまうなんてのは私の思い上がりかもしれません。ただ、どうにも同社の文章の端々から政治的な匂いがぬぐえません。
首相の名前や政策を露骨に書いたり・・・
若干聞き手によって意図の解釈が分かれそうな詩的表現の方針・・・
そして役員の出自・・・
これらは数値などでは表しようのない憶測です。
医療や介護、そして育児は、政治に支えられている部分が多いため、政治にかかわるのは致し方ない面はあると思います。
ただ、ビジネスに政治が絡むと体質は弱体化するのは間違いないです。ビジネスは苦境を超える度に強くなり、鍛えられるものですが、政治は苦境から救うためにいるからです。そこが密着しすぎると、会社の体質は悪化し、政治の助けなしでは動けなくなるリスクがあります。それは企業体質を見る上ではかなり致命的な問題になります。
まとめ
結論から言いますと、現状の数値的には悪くないです。ただ、こういった発展途上の会社は過去の数値はあまり参考にはなりません。そこで質的な部分が重要になってくるのですが・・・どうにも質的な部分がきな臭い。
見方によっては政府の指針に沿った医療・介護・子育て絡みの仕事を人脈を使って請け負い、厳しい職場環境の社員に対応させ、創業家及び政府関係者が利益を得る構図に見えなくもない。あくまで可能性の一つではありますが。。
数値上は悪くないですから、万一上記のような構図だったとしても、すぐに潰れるような事はないかもですが、働くにせよ、投資するにせよ、長い目で見ると、あまり関わりたくはないかな、と私は思ってしまいます。
本記事は有価証券報告書を元にした筆者の私的見解であり、特定の意思決定を推奨するものではありません。また、内容に対して適切と思われる指摘があれば、迅速に加筆修正致します。
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