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【2352】エイジア~有価証券報告書の読み方~

結論

財務状態良し。将来性や体質に疑問符。

 

目次

 

事業概要

先ずはエイジアの事業についてです。

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同社は中心となるCRMアプリケーションを中心とする3つの事業と、ベビー服ECサイト運営のEC事業があるとのこと。

①アプリケーション事業

コンサルティング事業

③オーダーメイド開発事業

④EC事業

個人的には①~③は同じセグメントじゃダメなんだろうか?と思います。

EC事業についても、無関係なように見えて、実はWEBCASを使用している顧客の売上をアップするための施策等を研究し、WEBCASへフィードバックすることを目的としているそうで、アプリケーション事業の一部とも言えます。

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よってエイジアという会社は実質WEBCASというアプリケーションを中心に事業展開されており、このアプリの競争力、発展性が同社成長のカギを握るものと推測されます。

 

一つ一つの事業について非常に詳細な説明がされています。

長いので小さくして掲示

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詳細を読みたければ有価証券報告書をご覧ください。

で、読んだ感想としてはちょっともう少しまとめられないものかな。。という印象。

事業に関する説明が長い理由には2通りあると思います。

事業についての愛が深すぎる場合と、うまくまとまっていない場合です。

 

私が読んだ感じではエイジアは後者ではないかと。

上の機能と下の機能ってどう違うの?とか、これとこれってつまり同じ機能じゃない?という部分が多かったです。

一般的に知られていない事業を説明する最も簡単な方法は、先ず一般的なCRMシステムの特徴を説明し、その上で他社製品には無い自社の特徴などを説明するのが最もシンプルではないかと思います。

一般的なCRMシステムはどういうものなのかを明確にした上でどこまでが自社のユニークな部分なのかを強調することで、会社の独自性、差別化戦略などが判断できるのですが、この文書ではそのあたりがうまく見えないです。差別化できていないか、差別化できていてもそれをうまく整理できてない感じがします。(少なくとも有報=経営者の頭の中では)

うまく差別化できていない場合、ソフトウェアに疎く、違いの分からない顧客にしか売れなかったり、価格の面でしか勝負できなかったりします。勿論それだけでも伸び盛りの業界なら戦えるでしょうが、将来は分かりません。

 

セグメントの状況を見てみます。

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先に分析の通り、セグメントこそ分けていますが実質的に同社はアプリケーション事業が根幹であると考えて良いと思います。

気になるポイントとしてはEC事業が結構な赤字です。のれんの償却額という一時的な要因こそありますがそれを除いても赤字です。同事業がWEBCASを使用している顧客の売上をアップするための施策等を研究するための研究開発のモデル事業という事であれば、仕方ない気もしますが、売上は伸びても利益が出ていない会社をモデルとして紹介されるのはちょっと・・・という気がします。


コンサルティング事業で減損を計上しています。

ただ固定資産の減損損失には載っていないんですね。

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重要性の観点から省かれたのか、何なのか。。

さらに、昨年はアプリケーション事業で大きな減損を出してます。

全体の利益が吹き飛ぶようなレベルではないですが、昨年の営業利益43.2%に当たります。一時的な損失とはいえこれは無視できないレベルです。

 

 

 

業績推移

経常利益率の推移は21.2%⇒21.9%⇒23.7%⇒21.7%⇒25.1% 

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経常利益率については比較的高く安定していて悪くない水準と思います。

昨年純利益が落ち込んでいるのは先ほど指摘した減損の影響によるものと思われます。

大型の減損(特別損失)が頻繁に出るようであれば、経常利益率だけでは会社の業績は測れませんが、直近5年間では昨年だけのようです。とりあえずは一安心。

 

とはいえあまり利益体質に明確な指針は見受けられません。

成長率が基準の印象。

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キャッシュフロー

フリーキャッシュフローは黒字が多いですが、年ごとに凸凹が多くてあまり統制が取れている感じはしません。ITの強みでキャッシュに余裕こそありますが、昨年などはフリーキャッシュフローが赤字です。

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理由としては投資有価証券の購入や事業譲渡(EC事業)のようですが、EC事業の業績を見る限りでは、果たして他の投資有価証券の内容も大丈夫か少々心配です。

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私は基本的に投資有価証券は、換金性の高い投資という事で、多くてもあまり気にしません。ただしそれは、フリーキャッシュフローの管理が出来ている場合に限ります。

フリーキャッシュフローが安定した推移をしている会社は、投資有価証券に投資していたとしても、あくまで余剰資金の効率的運用が狙いで、統制が取れているためリスク分散等のヘッジもされているものと推測されます。

しかし、エイジアのようにキャッシュフローが凸凹している会社は、その時の経営陣の思い付きで投資している可能性が高いですから、失敗して減損するリスクが高いです。余剰資金で本業以外に投資して失敗する、というのは、本業に自信がない会社や、ワンマン経営の会社が陥りがちなパターンです。

損益計算書の営業外の項目を見るとごちゃごちゃと科目があるので、色々本業以外に手を出しているのだろうな、という気がします。

 

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B/S(貸借対照表

先ずは流動資産状況の確認です。

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現預金の水準は46.4%と比較的手厚いです。

売掛債権も売上に対してそれほど滞留しているようには見えません(45日分ほど)。

預け金は注記に特に説明が無かったので、何なのかは分からないのですが、現金同等物として会計士が認めてる以上、リスク性資産でない事は間違いないかと。

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流動資産については懸念は特にありません。

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固定資産の方はソフトウェアを開発販売している以上、ソフトウェアが在庫として積みあがります。昨年は大幅な減損をしたために5千万ほどに減ってますが、今年は仮勘定を含めて1憶3千万ほどまで増えてます。とはいえ、同社の資産全体から見れば憂慮する水準ではないかと思います。

のれん爆弾も抱えていますが、14百万円と、全体から見れば軽微かとは思います。

とはいえこれってEC事業であるべびちゅの買収の時に払った分ですよね。。のれん償却を除いても年間7百万円の赤字を垂れ流しているビジネスを、20百万円を上乗せして買うってどういう事なんでしょうね。。今後改善されて大きなビジネスに発展するならともかく、現状の成績のままでは投資能力の質に疑問です。

そう考えると227百万円の投資有価証券の価値も額面通りに信用するのは危険かもしれません。。

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負債の方は問題ないです。有利子負債の無い無借金経営です。

純資産も15億円超と手厚く、資産の内訳と見比べても財務基盤としては十分強固ではないかと考えます。

 

 

 

事業環境

冒頭言った通り、同社の発展成長はWEBCASというアプリ次第かとは思うので、販売戦略や差別化、ブランド力強化の方針を見てみますと。。

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という事で、業界に詳しくないので一応、CRMシステムでググってみたんですが・・・

CRM(顧客管理システム)の価格・特徴徹底比較35選 | 2020最新版 | Senses

先ずCRMシステムで35選って多くないですか・・・。もう10社の時点で見る気無くします。。競争が激しく差別化が困難そうな業界ですね。。

しかもこの中にWEBCAS無かったし。。

顧客管理(CRM)とは?プロ推奨システム10選を解説!【2020年最新版】

こちらでも載っていない。。

やっぱりネットで「CRMシステム」や「顧客管理」で検索しても名前も出てこないというのは厳しくないでしょうか。。かといって今更CMバンバンだしているような会社と勝負しようとすると宣伝費が馬鹿になりません。かなり苦しい気がします。。

確かに本業に危機感を感じても不思議はない事業環境かも。。

 

 

 

まとめ

現状で財務は悪くないと思います。無借金経営で純資産も手厚く、資産内容もあからさまにリスキーな内容は見受けられませんでした。強いて言えば投資有価証券がリスキーですが、それでもせいぜい2億ほどと、屋台骨を揺るがすレベルとは言えません。

ただし、事業の譲渡やキャッシュフローの凹凸などから見て、本業で稼いだキャッシュフローをどう使っていくかが方針としてイマイチ安定していない感じがします。何となくですが、全体を通して本業に対してあまり自信が無く、かといって新たな投資についてもどういう方針を取るべきかを決めあぐねている、といった印象です。

財務的には堅実な印象ですが将来の成長という意味では若干の懸念を感じます。

 

本記事は有価証券報告書を元にした筆者の私的見解であり、特定の意思決定を推奨するものではありません。また、内容に対して適切と思われる指摘があれば、迅速に加筆修正致します。

 

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