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【3452】ビーロット~有価証券報告書の読み方~

結論

もはや理解の範疇外。日銀のREIT購入が生み出したモンスター的な何かになりつつある。

 

目次

 

事業概要

まずはビーロットの事業についてです。

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ビーロットは不動産事業の会社です。

詳細としては以下3つです。

①投資開発事業・・・不動産を買ってリノベーション販売するビジネス

コンサルティング事業・・・売買の仲介をしてフィーを貰うビジネス

③マネジメント事業・・・不動産管理手数料ビジネス

②、③については特に自前で資産を持つ必要のなく、フィーを貰うだけの安全性の高いビジネスです。一方で①は高価かつリスキーな在庫を抱えなければならない難しいビジネスです。

大抵の不動産会社は①~③をやっていますが、どれくらいの割合でやるかによって性質が異なります。②、③の割合が多い会社は安全性は高いが収益性が低く、①が多い会社は収益性は高いが安全性は低い、という事が多いです。

ビーロットがどんなタイプかはセグメントを確認します。

 

セグメントの状況

セグメント別の数値を見てみます。

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投資開発事業:211.9億円(83.7%、利益率18.4%)

コンサルティング事業:14.5億円(5.7%、利益率39.8%)

マネジメント事業:27.0億円(10.6%、利益率25.2%)

 

投資開発事業の割合が圧倒的に多いです。

しかし投資開発事業はそれほど利益率が高くないです。むしろコンサル事業、マネジメント事業の利益率が高いです。合理的に考えるなら投資開発事業は在庫を抱えるリスクが大きいため、正直18.4%の利益率では割に合わない気がします。

ビジネスをコンサルとマネジメントだけに絞った方が良い気もしますが、そうすると二つのセグメントだけでは全社費用の11.7億円を除いたらほとんど利益が残りません。。

となると投資開発事業は続けざるを得ないわけですが・・・この利益率でキャッシュフローが乏しく常に在庫の評価損リスクにさらされる不動産事業をやるのはかなり厳しい気がします。。

 

 

 

業績推移

経常利益率の推移は9.4%⇒7.5%⇒15.3%⇒14.0%⇒14.0% 

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やはりそれほど高くないですね。

おそらくは、投資開発事業の成長によって売上が伸び、利益の絶対額が伸びたため、固定費(全社費用等)を超えたところから一気に利益率が向上したのだと思います。逆に言えば波の激しい投資開発事業なしでは今の利益率は維持できないという事です。

投資開発事業にここまで依存していると、不動産市況が悪化した場合、売上が落ちる上に、在庫の評価減が襲ってきて、下手したら一発KOも懸念されます。。

 

 

 

経営方針

明確な数値基準はありませんが、「投資基準を満たす」というのは一応意味合いとしては利益率を意味するのかな、と推測されます。

あとは営業利益の安定的な確保、です。

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正直基準としてはあまり良いとは言えないです。ビーロットはまだ200人ほどの会社ではありますが、それでもトップが一人一人の顔を見れない規模です。きちんとトップの意思を数値に落とし込み、マネジメントできなければ、一度体質が弱くなると一気にズルズル悪化します。

 

 

 

キャッシュフロー

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投資開発事業が8割以上ですから当然と言えば当然ですが、営業キャッシュフローがほぼマイナスです。資金繰りがキツそうです。

内訳を見てみると、やはりたな卸資産を積み上げてます。

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そしてその原資は借入です。

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リスキーな不動産会社の典型的財務諸表だと思います。

 

 

 

B/S(貸借対照表

資産の確認です。

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手元資金は71.5億円(21.3%)とちょっと薄目です。

やはりヤバいのは在庫です。199.0億円(59.3%)あります。

資産の半分以上が在庫です。ホントにこれ全部売れるんでしょうか・・・

 

 

負債、純資産を見てみます。

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有利子負債は233.1億円(69.5%)とかなりのハイレバレッジかけてます。。有利子負債/純資産比率は過去に調査した企業の中でNo.1かもしれません。マネジメントは相当の勝負師ですね。。

これできちんと売却して資金回収できたら恐ろしい利益率になりそうですが・・・ぶっちゃけ無理だと思います。

 

純資産は81.5億円と絶対値でみれば中々なんですが、有利子負債233.1億円という数値の前ではかすみます。いや~・・・勝負師です。ちょっとここらでブレーキを踏まないとかなり怖い状況です。

 

 

 

扱う建物の種類

不動産会社といっても扱う建物によって性質が異なります。

オフィスや商業施設、ホテルなどのインバウンド系は利益が大きい反面、今回のコロナのように沈むと一気に沈みます。コロナが無くても性質として浮き沈みが結構激しいです。

一方で住宅とかは比較的安定しています。勿論不景気や金融危機とかでは住宅もヤバいですが、先のリーマンショックとかでも、住宅を扱うREITとかは結構大丈夫だったと思います。

という事でビーロットはどのような不動産を扱うのかを見てみます。

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複数のセグメントをやっているようですが、今回コロナでかなり痛手を被ってるはずの「ホテル」が結構あります。これは痛い。

在庫の199億円のうちホテルがどれだけあるのかわかりませんが、今の状況でホテルの在庫があるとすれば、その価値は相当下がっていると考えて良いと思います。

そうなれば、評価損を計上せざるを得ないでしょうから、かなり損益も厳しくなってくると予想されます。

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ただでさえハイレバレッジかけているのに、積もる在庫、低迷する損益じわじわ追い詰めるコロナ危機。。在庫の中身までは分からないので、どこまでヤバいのかは分からないですが、不良在庫が大量にあるようなら、資金がショートするのは時間の問題だと思います。

 

 

 

まとめ

もともと不動産事業はレバレッジかけてなんぼ、という商売なので、借金があまり好きではない私は業種として敬遠しています。しかしこのビーロットは特にヤバい感じがします。過去にいくつか不動産会社を見ていますが、ここまでのレバレッジはかけてないと思います。

借金が多くとも、例えば自分で管理しているREITを持っていて無理やりにでも売って捌くルートがあったり、純資産が相応に手厚かったりしたのですが、ビーロットの場合それらもなく、ただアクセルを踏みっぱなし、という印象です。

あまりにヤバかったのでおそるおそる直近の半期報告書を見てみました。

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まさかのフルスロットル。。

さすがにコロナ下であればブレーキを踏むかと思いきや、377.3億円(前期末比:189.6%)って。。どうすんのこれ。。

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借金も増えとる~~~~~~って当たり前ですね。

これだけの在庫を抱えてるのに借金しないでどこから金が出てくるのか、という。

有利子負債415.8億円(81.3%)です。。

これはもう・・・詰んでるんじゃないでしょうか。。

ただ、今は日銀が異次元の金融緩和でジャンジャンREIT買ってますから、どこまでいくか分かりません。。しかしこれで生き延びれるなら、本当に今の時代、借金したもんがちですね。。

まさに異次元の金融緩和が生んだ異次元のモンスター企業ではないかと。

 

本記事は有価証券報告書を元にした筆者の私的見解であり、特定の意思決定を推奨するものではありません。また、内容に対して適切と思われる指摘があれば、迅速に加筆修正致します。

 

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