結論:AI企業オルツ(260A)の成長に期待+注目してます
2024年9月にオルツという企業が新規上場しました。
私はあまり新規上場企業は体質が安定していなかったり、情報が少ないので、あまり買わないのですが、久々に買いました。今回はその辺の理由をライトにまとめておこうかと思います。
実は上場前からオルツの事は知ってました。
昨年こんな記事を見かけたからです。
オルツ、キーエンスと資本業務提携し生成AIを活用したソリューションの開発・提供へ向けたパートナーシップを開始 - 日本経済新聞
キーエンスという会社は、高収益、高利益率、さらに高額の給与水準で有名ですが、何より徹底した合理主義の企業文化を持っており、当ブログはキーエンスという企業を一つの理想的組織としてその動向を参考にしてます。
詳細はこの辺りの記事をご参照ください。
キーエンスはあまり安易な出資とか業務提携をしない会社なんですが、かつて「一太郎」で有名なジャストシステムという企業と2009年に資本提携したあと、ジャストシステムの業績はかなり改善しました。
そのあたりの話は以下の記事でやってます。
【4686】ジャストシステム~有価証券報告書の読み方~ - 企業分析アナトールの株式投資
この時から「次にキーエンスが業務提携があったら・・・その会社に投資するんだ」(なんか死亡フラグみたいですね)とか思ってたので、このオルツとの業務提携記事を見た時にオルツ上場しないかなーと待っており、この度上場と相成ったため購入し候。
私はAIについて技術にも業界にも詳しくありません。ただ、AIという未だ発展途上の分野の企業は沢山あれど、キーエンスが資本提携しようと思った会社なら、何かしら技術的勝算あってのことなのかな、程度に思ってます。逆に言えばキーエンスがオルツから手を引くとか言い出したら、ただ絶望して詰むのですが。。
勿論、キーエンス先生が業務提携しているから買う、というのではあまりに無責任なので、ざっと有価証券報告書(新規公開時)の第Ⅱ部は見ているんですけど、正直ベンチャー企業は、将来性に投資するので現状の財務分析はあまり意味がありません。ただそれでも財務面での注目すべき点は以下の二点かなーと。
①外部顧客への売上の半分くらいが販売代理契約のジークスさんが占めている点
②広告宣伝費で赤字
①外部顧客への売上の半分くらいが販売代理契約のジークスさんが占めている点
販売機能を代理店に任せるというのは、ベンチャー戦略の定石です。
特にAIのようなまだ売上が安定せず、顧客を新規開拓しなければならない分野で、自前の販売部隊を抱えるのは、固定費が嵩むためとても危険です。規模の小さい企業は技術開発だけに専念して、それ以外の部分は当面代理店に任せるのが無難です。
なので戦略としては問題ないのですが、懸念としてはこのジークスへの売上がどこまで持続するのか、という点です。同じようなAI企業であるAI insideさんも同じようにNTT西日本さんと販売代理店契約を結んでいたんですが、2021年に大量解約することになり、株式市場が幻滅して株価が暴落するという苦い事象があったかと思います。AI関連の企業を多少なりとも見ている人ならばこの事象は記憶に新しく、怖い気がします。
【4488】AI inside~有価証券報告書の読み方~ - 企業分析アナトールの株式投資
オルツの今の売上の主力はAI議事録という議事録を取るAIのようですが、正直この分野はライバルが多いでしょうし、OSを支配しているMicrosoftのCopilotでも要約が普通にできています。私は本業でCopilotを試用してますが、精度としては特に文句もなく、この分野で差別化できるイメージが湧きません。この分野一本でオルツが現状に安住することはできないと思います。
②広告宣伝費で赤字
オルツは2023年が▲15億の赤字なのですが、その主要因として広告宣伝費を▲38億円使用していることにあります。
この点についてはあまり悲観していません。
認知度をあげるために広告宣伝につぎ込むのはベンチャーの常道ですし、特にオルツの場合、AIの機能を向上させる意味で、より多くの人に使用してもらう事が技術開発に必要です。開発が軌道に乗る前に金が尽きる事には注意が必要ですし、広告宣伝費の費用対効果の管理はしっかりすべきでしょうが、その性質は先行投資と見るべきで、目先の損益の問題ではないと思います。
まとめ
私がオルツについて注目しているポイントは以上で、結構ハラハラする感じではあるんですけど、これも投資の醍醐味かなーと思って投資してます。投資の定石として、ニーズの高い分野に投資するのが最も効率が良く、AIは世界的な発展テーマです。ただその分競争が激しく世界を相手に戦っていかないといけないと思うので、普通に考えたら怖くてあんまりその分野に投資できないのですが、キーエンスがバックについて戦ってくれるならもしかしたら、何らかの分野で大化けしてくれるのではないかなーと。
個人的には、オルツには翻訳眼鏡とか出してくれると嬉しいなーとか思ってます。
私達が話していたら、AIが相手の言葉を翻訳してくれて字幕式で映してくれる眼鏡みたいなの。議事録をある程度の精度で取れて、翻訳機能付けたらそろそろできそうな気がするんですがまだあんまり見かけないのですよねー。。翻訳眼鏡作って、インバウンドで日本に来た外国人に配ったらいいんじゃないでしょうか。
オルツは比較的複雑な言語である日本語の推論能力に関して、強みを持つそうなので、その部分を活かせば、翻訳分野で少なくともアジア圏でのシェアとかは狙えるのではないかと。
ということで、そんな妄想をしながらオルツの10年後を期待して見守りたいです。。