企業分析アナトールの株式投資

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【2220】亀田製菓のジュネジャ・レカ・ラジュ氏について

結論

ラジュ氏が亀田製菓をグローバルカンパニーに導き、移民や新しい価値観の有効性を実証できれば、日本の移民問題は一歩前進するのではないかな、と。

 

こんな記事がありました。

インド出身の亀田製菓会長「日本はさらなる移民受け入れを」(AFP=時事) - Yahoo!ニュース

亀田製菓といえば「柿の種」で有名ないかにも日本ぽい会社のイメージなんですが、そのトップがインド出身と聞いて興味が湧いたので、軽く調べます。

2020年から亀田製菓に副社長として参加して2年後に会長兼CEOという事で、ちょっと前から経営者候補として招かれていたのでしょうね。ただ、この方の年齢もちょっと気になる所で1952年生まれという事はCEO就任時は70歳というご高齢での就任です。社外からの経営者という点もそうですが、年齢からしてもバリバリ辣腕を振るうというより、新たな視点を入れるという意味での指名なのかな、と。

 

その下のCOO、CFOは生え抜きの社内取締役、常務の古泉さんは名字や保有株式数から、創業家の方っぽいです。実務の方はこちらの方々が担って、ジュネジャ・レカ・ラジュ氏はあくまで象徴的な存在なのではないかな、と。

あと、同社の取締役の構成を見るに、取締役のうち過半数以上が社外取締役なので、ラジュ氏をCEOに置いているのは、この方々の判断という事かと。

 

大株主も一応チェックします。意思決定に関係しそうなのは創業家の資産管理会社らしい株式会社エイケイですが、それでも10%程度とそこまで多い印象ではないです。他の主要な大株主である共栄会や銀行、持株会は基本的に一枚岩ではないですから、大株主が強硬に企業に影響を与える感じではないかな、と。やはり経営者を決定する権限は社外取締役にあるのではないかと。

 

一般的に海外出身の経営者を選択する事がメリットになるケースは2つ考えられます。

 

①グローバルカンパニーの経営を担えるスキルがある

②海外に対する知見を提供して販路拡大に寄与する

 

亀田製菓は現状、ほとんどが日本国内の売上ですから、そこまでグローバルカンパニーとはいえませんが、今後の成長を見込んでの人事ということかもしれません。

 

②については2017年にインド、2018年にカンボジア、2020年にタイと海外に進出しているようなので、国際化を睨んでの人事ということかもしれません。

 

 

亀田製菓が今後世界展開を目指したときに、トップを国際感覚のある人にして、実務を担う人たちに生え抜きの方々を揃える、というのが社外取締役の構想なのかな、と。

その構想であれば、この人事は無難なところなのかな、と。

 

記事の移民問題について

亀田製菓で会長CEO(最高経営責任者)を務めるインド生まれのジュネジャ・レカ・ラジュ氏(72)は、日本経済が高度成長期の栄光を取り戻すためには、マインドセット(考え方)を変え、より多くの移民を受け入れる必要があるとの考えを示した

ラジュ氏の言ってることの理屈は分かるんですよね。

大航海時代の黎明にポルトガルやスペインが西回り航路や新大陸を発見して繁栄できたのは、彼らがレコンキスタやレヴァント貿易を通じて、異教徒であるイスラム圏から航海術や世界の地理についての知識を受け入れた事が大きな要因だと思いますし、その後オランダが台頭してきた背景には、そのポルトガルやスペインから排斥されたユダヤ人がオランダで活躍した事が理由としてあげられてます。移民大国アメリカの繁栄は言わずもがなですが、移民の知見を取り入れて繁栄した事例は確かにあります。

ただ一方で、ローマ帝国ゲルマン人の民族大移動によって衰退したという見方もできますし、新大陸の先住民であったインディオ大航海時代にヨーロッパの国々によって支配され、沢山の部族が滅亡した事も、移民を許したことが原因という解釈もできます。

 

移民を受け入れ、繁栄した国と衰退した国の違いは、ひとえにその国が移民のメリットをしっかり活かせるかどうかにかかっているのではないかと。つまり、歴史がどうとか日本経済がどうとかを論ずるより、その国の企業が彼ら移民を適切に扱い、移民の存在価値、経済的メリットを明らかに示せば、政府も世論も移民を肯定し、共栄する方向に進められるのではないでしょうか。

 

例えばもし、ラジュ氏を起用した事によって亀田製菓が素晴らしい発展をしたという実績ができれば、自然とグローバル展開を志向する企業の経営者は移民を重要な地位に置くことを検討するでしょうし、それによって外貨を稼いで日本の税収がUPすれば、利益を受ける日本人は、移民は私達に利益をもたらしてくれる存在として受け入れていく筈です。

 

ラジュ氏は既にその実績をあげるに最も適した地位にいる方なので、「政治的に移民を受け入れるべき」などと政治にすがるのではなく、移民の価値はここにあり、としっかり亀田製菓をグローバルカンパニーに導くような実績をあげて頂ければ、日本はもっと移民を積極的に受け入れる下地ができていくのではないかな、と思う次第です。

 

移民問題については様々な意見があるでしょうが、経済面でメリットがあるなら個人的には大歓迎なので、ラジュさんも亀田製菓も今後に期待したいなーと思う記事でした。