企業分析アナトールの株式投資

企業分析の「正しい答え」を教えるブログではなく、「答えを探して藻掻く姿」を見せるブログ

【5243】note ~明日はどっちだ~

結論:noteさんは順調に成長しているけれど、市場期待は過大で楽観はできない

 

近頃、note(5243)さんが盛り上がっていると聞き、株価を見てみて驚きました。

22年に上場してからずっと500円前後だった株価が、1月14日に急騰、あっという間に6倍の3,000円近くまで高騰しました。これは凄いですねー。。

 

ただ、先週末の金曜日辺りから株価が暴落して、ストップ安2連続とのこと。

凄い値動きなので、何が起きているのかを整理してみます。

 

1月14日にnoteさんの11月期の決算発表がありました。

note[5243]:2024年11月期 決算説明資料 2025年1月14日(適時開示) :日経会社情報DIGITAL:日本経済新聞

業績は良い感じに成長してますね。

ベンチャーでは先行投資の名の元に赤字を積み重ねる会社さんが多いですが、noteさんはきっちり黒字にマネジメントしてくれているようです。

目先の損益に囚われすぎて、成長余地、投資余地がある時に過度に抑制するのは良くないですが、昨今、莫大な赤字で自社のお金では回せないために、増資、新株予約権の割安発行で、既存株主の持ち分をどんどん希薄化させる会社さんも散見されるので、きっちり黒字にしてくれる会社さんはありがたい存在ですね。

 

一応B/Sも見てみます

 

 

資産リストはそのほとんどはキャッシュが占めていて、特にリスクは見当たりません。強いて言えば未収入金が大きいのが目立ちますが、負債の方に預り金がそれ以上あるので、おそらくはクリエイターとその支援者の資金を仲介してプールしているお金ではないかな、と推測されます。

未収入金はその性質上、貸倒のリスクにさらされやすいですが、監査法人が貸倒引当金を設定していないので、おそらく貸倒があっても僅少なのかな、と。

一応、昨年の有報をチェックしてみると未収入金は1年以内で回収されて、滞留しているものはないようですね。十中八九問題ないかと。

 

 

となればnoteさんのB/Sはかなり健全です。

それに、未収入金よりも預り金が多いという事は、入ってこないお金よりも前払いされるお金の方が多いということなので、CFはかなり潤沢な筈です。

 

C/Fも見ておきましょうか。

圧倒的な余裕度です。

無駄な投資もしてませんし、資金繰りは全く困る気配がありません。

もう少し資金規模が大きくなったら、滞留している資金効率を考慮して運用などを考える必要も出てくるでしょうが、今はまだベンチャーなので、当分財務担当の人が胃を痛める必要はないかな、と。

 

以上から、noteさんはとても健全に成長している事が分かります。

 

ただ、これでは一気に株価が6倍になった説明がつきません。

noteさんはようやく黒字になったばかりでPERの値なんて論外ですし、上昇前ですらPBRは5倍くらいありました。それが一気に30倍近くになったわけです。

確かにnoteさんは順調に成長してはいますが、すぐに2倍3倍に売上が伸びる類のビジネスではないと思います。テキストメインのクリエイターとファンの仲介プラットフォームですから、爆発的に売上が増えるというのは、正直考えにくい業態です。

 

となれば株価暴騰の理由として考えられるのは、期待値の暴走です。

何らかの情報がニトロになって、株価が暴発したのかなーと。

じゃあ、そのニトロは何なのか、という事でおそらく以下がそれだと思います。

noteさんがGoogleさんとの提携を発表

note[5243]:Google International LLCとの資本業務提携及び第三者割当による新株式発行に関するお知らせ 2025年1月14日(適時開示) :日経会社情報DIGITAL:日本経済新聞

【提携内容】

・noteプラットフォーム上でのAI機能開発に関する連携

・クリエイティブ領域での生成AIに関する開発

 

【提携の目的】

Googleは日本有数のクリエイターコミュニティを通じた日本のクリエイターエコノミー市場での認知度向上、noteはAI技術を活用した文章生成・編集支援ツールなどのプラットフォーム機能の強化及びユーザー体験の向上

 

Googleの目的には「ん?」という感じです。

認知度向上て・・・クリエイターに限らずGoogle知らない人っているんですかね。。

 

調達金額の総額は約5億円。

 

これをnoteさんはプロダクト開発、人材登用に使うそうです。

より詳細な内容は以下。

 

 

クリエイターが生成AIを使いながら、コンテンツを作れる環境を整えるようです。

流行りの「ビットコインに集中投資」よりはnoteらしい内容で好感が持てます。

 

①黒字転換 × ②FANGの一角との提携 × ③近年のAIブーム

というのがコンボして、ニトロになって、株価が吹きあがったのかなーと推測。

 

ただ、先週金曜日に暴落しているのを見てからなので、結果論っぽく聞こえるかもですが、個人的には今回のは一過性の上昇にしかならない可能性が高いかな、と。

 

①黒字転換

先に書いた通りnoteは財務的に健全で順調に成長している会社だとは思いますが、現状見る限りでは、その期待値に応えられるほどの成長ではないと思います。Googleさんが出資した500円前後の評価が無難ではないかな、と。。

 

FANGの一角との提携

Googleさんとの提携でなんかすごい事が起こるのでは、という期待もあるかもですが、あんまりそこまでそれに期待しない方が良いと思うんですよね。Googleさんは色んな分野に手を出している会社さんです。その分出資した会社は沢山あって、その中には成功した投資も失敗した投資も沢山あります。5億円の提携ではGoogleさんがどこまでnoteさんの将来性に確信を持っているのかは、正直読めません※。

 

※提携先を信頼して投資する、という意味では、私もキーエンスとの提携を見て、オルツに投資しているクチなんで、あんまり人の事言えないんですけど、私はGoogleとの提携よりキーエンスとの提携の方に信を置きたいんですよね。会社としては時価総額とか諸々、Googleの方が優れている部分は多いんでしょうが、キーエンスは基本的にほとんど資本提携しない会社で、無駄な事をしない合理主義的な社風を知っているので、こと出資に関してはGoogleの判断よりはキーエンスの判断の方が信がおけるかな、と。

www.freelance-no-excelyasan.com

 

③近年のAIブーム

近年のAIブームで、AIを取り入れれば何でも儲かるんじゃないか的な雰囲気を感じます。今回の暴騰もその雰囲気がそうさせた側面はあるように思います。ただ、AIはなんでも与えてくれるわけではなく、何かを奪っていく可能性も考慮に入れる必要があると思います。以下の記事ではM&Aや不動産といったビジネスの仲介業が淘汰される可能性を考えました。

www.freelance-no-excelyasan.com

この危険性はおそらくコンテンツ業界も例外ではないと思います。

 

例えばこのリリースの中のものを参考に出します。

note[5243]:事業計画及び成長可能性に関する事項 2025年2月13日(適時開示) :日経会社情報DIGITAL:日本経済新聞

後藤達也さんはニュースを分かりやすく説明してくれる、ということですが、知識を元にした分かりやすい解説はまさに生成AIの得意とする分野で、既にChat-GPTなどはこちらが適切な問い(プロンプト)を投げる事ができれば、分かりやすい解説をしてくれるようになってます。膨大なデータを元に、かなりの精度でAIが分かりやすい解説を即答してくれる仕組みが出来上がった時、解説を売りにするテキストコンテンツクリエイターに課金する人がどれだけ出てくるか・・・例えばこんなプロンプトをみんなが使いだしたらどうなるでしょうか。「本日の主な経済ニュースを10件ほどあげて、分かりやすく解説してください」。しかも、分からない部分があれば追加で質問すれば、AIは即答してくれます。

「分かりやすい解説」という分野に限って言えば人間に勝ち目は薄いと思います。

(ブログ書いてる私も壮大なブーメランなんですけどね・・・)

 

noteさんのビジネスモデルは、結局の所、ファンの課金あってのものですから、AIがどんどん進んでクリエイターに課金する人が減っていけば、ダメージを受けます。

「あのGoogleが提携してくれたわ~い(∩´∀`)∩」とか言ってる場合じゃない。。

その巨人が強烈に進めるAIの成長によってクリエーターが、ひいてはnoteさんが踏みつぶされるリスクもある事を投資家は忘れてはならないと思います。そういうことをつらつらと考えていくと、やっぱりnoteさんは、爆上げワショーイとか言ってられないと思います。

 

私自身noteさんで記事出しましたし、noteさんの経営はしっかりされているので、応援したい所ではありますが、現実から目をそらすわけにはいきません。noteさんにしても、ブログやってる私にしても、来るAIの未来にどう備えるかをしっかり考えていかなければならないなーと。。そう思います。