企業分析アナトールの株式投資

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【3399】丸千代山岡家のブームについて

結論

現状はあまり業績として結びついていなくても、理に叶った経営をしている企業はピックアップしておいて、何らかの形でSNSで火が付くタイミングを見測ると大きな爆益に繋がる可能性がある。

 

最近本業の方で色々変化があって、更新ご無沙汰してましたー。。

今日の記事は【3399】山岡屋さんのブームについてです。

Xでフォローしている方が山岡屋について言及していたので、興味を持ちました。

チラッとチャート覗いたら面白い。

【丸千代山岡家】[3399]チャート | 日経電子版

2022年までずっと平行だったのが、2023年から急激に株価が伸びてます。

一体何が起きた・・・。

これはビジネス好きは興味を抱かざるを得ない。

基本的に外食産業は一般的に稼ぎにくい業種です。

前にこんな記事書きましたが、とにかく飲食業は課題が多い。

www.freelance-no-excelyasan.com

 

固定資産が多いから回転率を上げないとすぐ赤字になる。

あと衛生管理も大変。

最近はすき家の問題もありましたよね。

【「味噌汁にネズミの死骸」で新展開】すき家がネズミ混入を認めて謝罪「従業員が提供前に商品状態の目視確認を怠った」 約2ヶ月にわたり非公表 昨年には大手製パン会社で混入の事例も|NEWSポストセブン

食べ物がいっぱいあるところには、人間だけじゃなくて虫や動物も集まる。。外食産業はクレーマーだけでなく虫や動物とも戦わなければならない最高難度のビジネスといえます。

 

であればなおさら、こういう会社の成長は理由をチェックしておきたい所です。

 

まずはざっとここ十年の業績推移をチェックしてみましょう。

前提として抑えておきたいのは外食産業は特に2020年~2022年頃のコロナの影響は大きかった筈。そうした苦境に関わらず、ここ10年売上が伸び続けているのは驚異です。

ただ、それ以上に2024年1月度の業績の伸びは凄い。

売上高が40%以上も上昇してます。

経常利益率も飛躍的に上がってますが、これは損益分岐点を圧倒的に引き離すだけの売上高が上がったからだと考えられます。一般的に飲食店は固定費が高くて、変動費が低いので、損益分岐点を超えてると一気に高利益率になります。

山岡屋は24時間営業なので、客が増えて急激に利益率があがったものと推察されます。

 

ざっと有報を読むと、山岡屋の戦略のポイントはこの辺かな、と。

・主要幹線道路沿いに出店

・24時間営業

・直営店によって品質、サービス、清潔さ水準を維持し、スクラップ&ビルドを実施

業態として複雑な事をやってなくて、実にシンプル。

それに飲食店ビジネスの課題を抑えた戦略だなーと。

一般的にフランチャイズという手法は企業が固定資産のリスクを負わないで良く、利益率もかなり向上するので、会計的にも経営戦略として有効ですが、仕組みを作り上げる難易度が高いのと、セブンイレブンとかでおきてるトラブルとかを見るとやはり、課題が多いようです。

 

その点、山岡屋の出店政策は地価の高い場所ではなく、郊外の道路沿いなので、固定資産の取得リスクはそこまで高くないのかもしれません。であれば、無理にフランチャイズをやるより、スクラップ&ビルドを前提に直営店を出店していって、品質等を維持するメリットが勝るのかもしれません。

 

経営方針のところにも直営店にこだわる姿勢が見えます。

 

 

この方針は10年前の有報から大きくは変わってません。

シンプルな業態、直営店方式を貫くブレない指針は企業として好感が持てます。

 

ただ、一貫しているだけに、今回のメインテーマである23年以降に同社が伸びた理由は経営戦略の変更によるものではないだろうな、と。

 

後、考えられるのは経営陣の変更によって、劇的に何かが変わった可能性ですが。。

 

 

最近で起きた大きな変化と言えば、21年に創業者の山岡氏(どうでもいいですが略歴が自衛隊スタートというのはシビれますね。。)が会長に退いて、専務の一曲氏が後任社長となり、取締役に経理部長の方と経営企画室長の方が加わった程度です。これは山岡氏のご年齢を考えれば、単に後継者への権限移譲の一環という気がします。後継者が血縁者でない点や、特に頻繁に役員が入れ替わったりしてない点からも、後継者継承としては順調な気がしますが、要は体制に大きな変更はないということですから、いよいよこの辺は急激に業績が伸びた理由にはなりません。

 

となれば、業績の急成長は内的な企業努力というより外的な変化ではないかな、と推測が立ちます。

 

外的な変化はもうググるしかないので、調べてみた中ではこのあたりの内容が一番得心がいった。

“ラーメン大恐慌時代”に山岡家が成長を続けるワケ 飲食店の倒産件数は過去最高でもブームがブームを呼ぶ巧みな戦略 /2ページ|週刊実話WEB

 

「山岡家はYouTubeTikTokソーシャルメディアに強く、ラーメン系YouTuberやお笑い芸人のYouTubeチャンネルに頻出している。TikTokには『山岡家最強アレンジ』『夜中に1人で山岡家を食べる女子大生』などといったショート動画が大量に出回り、再生回数を稼いでいます。インフルエンサーらがこぞって山岡家を訪れて動画を撮影・投稿し、“ブームがブームを呼ぶ”状況になっている」(フードアナリスト

 

山岡家って何で急に人気が出たのですか?数年前までガラガラだったのに今はいつ... - Yahoo!知恵袋

 

Q.山岡家って何で急に人気が出たのですか?
数年前までガラガラだったのに今はいつも満席です

 

A.まず前庭として、人気とは顧客数の増加要員であり、すなわち新規客とリピーターの獲得です。

さて、もともと山岡家の豚臭さのある濃い味付けは人気で、会社自体の売上も右肩上がりでしたよ。それに伴って人気Youtuberの多くが山岡家のリポートをしています。コロナ禍において、動画視聴した人が爆発的に増えたことで、よい宣伝効果になったのでしょう。
また、コロナ禍以降、24時間営業どころか夕方営業をやめる飲食店が続出しました。そのような中、山岡家においては現在においても24時間営業を継続しています。販売機会が伸び、新規顧客の獲得に繋がりました。そして、あの濃い味付けです。機会が増えて何度か食べれば他のラーメンでは物足りなくなります。私の場合は二郎系でしたが、一般的な味噌ラーメンは食べられなくなりました。そのほか、コロナ禍においても山岡家や焼肉きんぐは売上低迷はありませんでた。既存客が未だに戻らないレストラン層と比べ、それらを逃すことなく、新規顧客獲得に繋げられていることもあると思います。あと、意外とホワイト企業ということが認知されてきたこともあるのかもしれません。山岡家は従業員を大事にするので給料もそこそこ高く、従業員の企業満足度も高いです。なお、わたしは山岡家が近くにないので1回しかいったことがありません。特味噌をたべてみたいなあと思っています。

 

なるほどなーと。

コロナ禍をきっかけにSNSがらみで盛り上がって、知名度を上げたことが大きな飛躍の大きな理由というわけですか。。喫茶店とかでインスタ映えとかバズりが重要というのは聞いてましたが、ラーメン屋でそういう事があるというのは意外でした。これだけ劇的に企業収益への影響が出るとなると、外食ビジネスに関心のある人や投資している人はSNSのトレンドとかはこまめにチェックしておくべきなのでしょうね。

 

ただ、山岡屋をホワイト企業、と表現すべきかはちょっと微妙な気が。。

勿論、飲食店は業界として年収の低くなりがちな業界ではありますが、平均年齢41歳で年間給与440万弱は待遇として、決して良いとは思いません。

同社は24時間営業の店ですから、中には深夜勤務の人も含む筈。この報酬でホワイトと表現するのは苦しい気がします。まだ改善の余地はあるんじゃないかな、と。

 

まとめ

結論から言えば、山岡屋の23年以降の劇的な売上増は、企業施策によるものというより、SNSでバズる、YouTubeで取り上げられる外部要因による側面が強い気がします。ただ、これを単なる偶然と呼び、運がいいだけと捉えるのは違うと思います。

 

第一に、山岡屋の戦略は理にかなっているし、その戦略がコロナ禍という歴史に残る逆境の中でも成長するという実績にきちんと結びついている。

第二に、バズるにはバズるなりの理由(味や業務品質へのこだわり)があり、さらにバズった影響を売上に転換できるだけの仕組み(客が増えても24時間対応で受け入れが可能)ができていた。

 

23年にバズったのは偶然かもしれませんが、バズったのはそもそもコロナ禍であっても安定して成長、運営できるだけの地力が山岡屋に備わっていたからであり、仮に23年が不発であったとしても、何かをきっかけに大きく飛躍する可能性は高かったと考えられます。今後の教訓としては、現状はあまり業績として結びついていなくても、理に叶った経営をしている企業はピックアップしておいて、何らかの形でSNSで火が付くタイミングを見測ると大きな爆益に繋がる可能性がある、というところでしょうかね。

 

勿論、今回のSNSのブームはどこで終わるか分かりません。

そもそも外食産業は流行り廃りの多い業種ですし、冒頭に書いている通り、難易度の高いビジネスですから、好調がいつまでも続くとは限りません。ただ、一貫して筋が通った戦略を持つ企業が、苦境をばねに一気に飛躍するケースは、なかなかに見ていて気分のいいものです。とりあえず、株主の方やマネジメント、関係者の皆様におかれましては会心の爆益、お喜び申し上げます。