起源
チョコレートの原型は遅くとも紀元前1900年頃のメキシコに存在したと言われている。とはいっても、当時のチョコレートは今のチョコレートは全然違う。すり潰したカカオ豆に湯か水を加え、コーンミール(乾燥させたトウモロコシを挽いて粉にしたもの)など増粘剤となるものを加える。これにバニラ、唐辛子、その他の香辛料、花などで風味付けをされたものが、ショコアトル(苦い水)と呼ばれた。これがヨーロッパに渡って「チョコレート」になった。
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もう苦い水っていう時点で今のチョコレートのイメージと真逆。こうして見てみると、「豆をひいてる」「苦い」という特徴や、カフェインが含まれている点などから考えるに、チョコレートの起源は今のコーヒーと似たものだったのだろう。
食べ物の歴史を読んでたまに思うけど、「最初に飲んだやつ、何故飲んだ?」という謎。苦いんだよね?匂いも凄いよね?何で飲むの?という。コーヒーもカカオも種子を挽いて作るけど、どちらも果肉の方は甘くて美味しいらしい。それなら果肉だけで満足しておけば良いのに、苦い種子を挽いてまで飲み下すという暴挙。人類はカカオに恨みでもあるのか。
ここで注目したいのは、甘い果肉よりも、今では苦いカカオ豆の方が人々に広く認知され、市場が広がっているという事実。多分、カカオを見つけた時にわざわざ苦い豆の方を齧る人はいない。最初は普通の果物と同じように果肉を食べていた筈。
ここからは想像でしかないが、どっかのタイミングで意地汚い人が「もったいないな~」とか思ってカカオ豆を舐めたり齧っていたんじゃないか。そしたら香りが良い&カフェインパワーで何か妙に力漲る→これはカカオ豆の力だ→すり潰して飲もう、となったのではないか。(真実は誰にも分からんが・・・)
仮にそうだったと仮定すると、発端はただの貧乏性じゃねえか、とも言えるが、その貧乏性が現代の11兆円越えのチョコレート市場の原点なのかもしれないと考えると馬鹿にはできない。これは現代でも言える事で、もしかしたら私たちの目の前には、今は全く見向きもされないけれど、将来の11兆円市場の原石が転がっているかもしれない、という事をビジネスマンは常に頭に入れておくべきかと思う。11兆円市場は無理でも100億円市場くらいなら、本当にそこらへんに転がってるかもしれない・・・
大航海時代に世界へ伝播
チョコレートの起源であるショコアトル、つまりは原料であるカカオが世界に広がるのは16世紀、ヨーロッパの大航海時代。メキシコを植民地化したスペイン人が、カリブ海中域、中米の広い地域に広げた。(ポルトガル人も一緒にやってた)最初は元々のショコアトルのままの苦い飲み物としてだったが、17世紀に入ると砂糖で甘くした液体チョコレートとなり、19世紀には元々王族や上流階級だけだったものが一気に一般大衆まで広がる。膨大な需要が生まれ、それに目を付けたヨーロッパ各国が植民地でのカカオの生産に乗り出す。以下がその年表と生産場所リスト。
16世紀
スペイン人:トリニダード・トバゴ、ホンジュラス、キューバ、ベネズエラ、コロンビア
ポルトガル:ブラジル
17世紀
スペイン:フィリピン、インドネシア、ペルー
18世紀
イギリス:インド、スリランカ
オランダ:インドネシア、マレーシア
19世紀
ポルトガル:サントメ島、プリンシペ島、ピオコ島
オランダ:ガーナ
ドイツ:カメルーン
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歴史を辿るに、希少なものは何でも最初は薬として上流階級にもたらされる。砂糖も最初は薬として使われていたようだし、香辛料は今でも漢方薬として扱われてる。最近の例ではコカ・コーラが有名。コカ・コーラの生みの親は薬剤師のジョン・S・ペンバートン博士で、彼は薬局でコカ・コーラを売った。「体に良い」という宣伝をしていたこともあった。どこがやねん。
昔は生理学があまり発達していなかったから、珍しいものは何でも身体に良いと言えば売れたのか・・・。
秦の始皇帝は長寿のためにあちこちから珍味を集めて食べたが、その中には水銀料理もあって、始皇帝は水銀中毒で死んだ、などという話もあるくらいだ。中華全土を統一するほどの軍事力を持つ始皇帝を殺したのは「無知」だったわけだな (•̀ω•́ )ドヤ~
倫理観はさておき、珍しいものなら何でも高値で売れる、というのはビジネスマンにとってちょっと羨ましい時代なのかもしれぬ。昔は良かった・・・のか?
固形チョコレートの登場と技術の進歩
1847年、イギリスのJ・S・フライ&サンズ社が世界初の固形チョコレートを作った。このチョコレートは、ココアパウダー、砂糖、ココアバターで作られており、現在の基準からすれば滑らかさに欠け、苦いものだった。それでもすぐに人気を集めた。
ミルクチョコレートが商品として売り出されるのは、最初の固形チョコレートが作られてから30年近く経った1875年だった。スイスのチョコレート職人、ダニエル・ペーターは、ネスレ社(キットカットの会社ですね)の創業者、アンリ・ネスレとともに、牛乳から水分を除去する方法を発見した。ミルクチョコレートを作る時に牛乳に水分があると、カビが生えてしまうため、それまでミルクチョコレートはできなかったらしい。
また、長時間かけてチョコレートをかき混ぜ、練る事で風味を高める「コンチング」という手法が発明され、チョコレートの製造技術が向上した。
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参考資料では、チョコレートはミルクチョコレートになるのが必然のような書き方になってた。推測だが、最初は湯や水で説いていたチョコレートを、固形が出る頃には、ミルクでとくホットチョコレートが一般的になっていたのではないか。つまり以下のような流れ。
①薬としてのショコアトルは苦い水(良薬口に苦し)
②口当たりの良いミルクに砂糖を入れてカカオパウダー、ココアバターをいれた飲むチョコレートをを飲むようになった
③固形にしようとすると、ミルクの水分でカビが生えるから、固形チョコレートはミルク抜きで作った→ミルクないけどそこそこ売れた
④でもミルク入れた方が絶対旨いよな・・・
⑤ミルクから水分を抜く方法が開発される
⑥これで完全なミルクチョコレート(固形)ができる(トゥートゥットゥルー♪)
(流れは推測なんで根拠はなし。参考資料が結構端折られているので想像で補ってるので間違いでも悪しからず)
固形のチョコレートに慣れた今からすると、液体チョコレートって逆に飲みたい。美味しそう・・・(๑・﹃ ・`๑)ジュルリ
まだ色々考察したい部分があるけど長くなってきたので一端とじる。
ちなみに参考は以下の書籍
歴史やらなんやら挿絵付で物凄く面白い。チョコが好きな人は是非一読してほしい。
紅茶、コーヒーと一緒にちょっと特別なチョコを食べ、こういう本を読んでチョコレートの歴史について思いを馳せるというのは、結構豊かな気分になるもの。
優雅な休日の午後にひとつ・・・