結論:化物級の優良企業
目次
持株会社とは
ショーボンドHDは純粋持株会社です。
純粋持株会社というのは、他の株式会社を支配する目的で、その会社の株式を保有する会社を指します。他の株式会社の株式を多数保有することによって、その会社の事業活動の指針を決めることを事業としている会社です。
ショーボンドHDの「HD」はホールディングと読みまして、持株会社の事です。
持株会社はあくまでグループを束ねて全体の意思決定をしているだけの組織で、実業は何もしていないのですが、傘下の実権を握っているため、有価証券報告書上は傘下の会社を全て合算し、傘下企業間の取引を消去した数値※を報告してます。
※この数値を連結数値と言います。
よって、今回の分析はこのショーボンドグループ全体で見ることになります。
事業概要
先ずはショーボンドグループの事業の構成です。
いくつかの会社がありますが、事業内容は公共構造物の補修補強工事である「国内建設」と「その他」です。「その他」の内容はグループ内で使っている工事材料の一部を製造し、一部を外部へ販売しているという事ですから、主たる業務は「国内建設」と言っていいでしょう。
一応セグメント売上(業種ごとの売上)の状態も確認します。
まあ、ほぼ国内建設ですね。
という事で、同社の成長はこの事業の成否にかかっている事が分かります。
顧客
主な取引先に国土交通省があり、売上の16.4%を占めています。
また、経営成績の状況を説明する文中で、地方自治体、NEXCO各社(高速道路の運営会社)と述べていますから、いわゆる公共機関に近いお客さんですね。
事業が公共構造物の補修補強工事ですから、当たり前と言えば当たり前ですが。
自己資本利益率
面白い事に、ショーボンドHDの自己資本利益率はこの5年間大体同じで10%程度です。自己資本利益率という指標は、分母の自己資本が毎年増えていくので、普通の会社は自己資本利益率が低下しやすいんですが・・・規則正しくて不気味なくらいです。
考えられる理由としてはコレ
自己資本利益率10%を目標に掲げている事から、徹底したコスト管理を強いているのかもしれません。通常の会社で管理する事は難しいですが、公共事業は基本的に貸倒の心配はないですし、大体工事の利益率も決まっているでしょうから、コスト管理を徹底して自己資本利益率をある程度調整する事も可能なのかもしれません。
念のためにさらに前の有価証券報告書をチェックしてみますと、さすがにずっと10%ではないようですね。
ですが、基本的に安定的に収益を生み出せる体質のようです。
明確にROEの体質目標を掲げて実現できているあたり、経営陣はコスト意識のある、優秀な経営陣なのかもしれません。
キャッシュフロー
キャッシュフローも問題ないです。
直近2年にフリーキャッシュフローが赤字ですが、キーエンスと同じパターンです。
投資活動によるキャッシュ・フローの内容は定期預金の預入と、有価証券の取得。
これはフリーキャッシュフローの考え方からすれば、事実上のノーカウントですから、同社はずっとフリーキャッシュフローが黒字の健康体です。
B/S(貸借対照表)
キャッシュフローが潤沢という事から大体想像できていましたが、配当性向50%目標でありながら、相当キャッシュリッチな会社です。直近合計で483億円分の現金及び有価証券を抱えてる癖に、有形固定資産がほとんどない。負債では有利子負債ゼロ。
これはもう疑う余地がない。
この会社、建設業界のキーエンスです。絶対潰れないタイプの化物企業です。
従業員給与
調べてみたら案の定、ショーボンドHDの2018年の平均年収は建設業トップの1341万円だそうです・・・完全にキーエンスモデルですわ。。
【建設】業種の年収、トップはショーボンドの1341万円 :日本経済新聞
会社が優良過ぎで、社員の給料が高い奴です。
まとめ
ショーボンドHD、恥ずかしながら調べるまで存在を知りませんでした。
名前もちょっとイマイチな気が・・・
でも間違いないです。恐ろしいほどの優良企業です。
顧客が公共機関というところが若干きな臭い感じはしますが、計画の組み方や配当性向の高さ、財務健全性、管理調整された自己資本利益率。
潔癖なまでの統制の匂い、キーエンスに似た匂いがします。
こういう会社はどの業種だとか、景気動向とかそんなの関係ないです。
こういう会社は業界自体が無くなるとかじゃない限りは、どんな不景気でも乗り越えていける体質を持っています。
分析一発目からこんな化物企業を掘り当てる事になるとはほんとに予想外でした。。
投資家、転職者、新卒者には、十分お勧めできる会社です。
(ただし投資家は買値をちゃんと考えてください)
企業分析リンク
www.freelance-no-excelyasan.com