結論
財務良し、体質手堅し。
成長期待はあまりなし。。
目次
事業概要
先ずはプラネットの事業についてです。
BtoBビジネスなので、一般人には少し難しいけど、分かりやすく伝えようとしてくれている事はわかる、といった感じです。一つ一つざっくり自分なりにまとめてみます。
EDI事業
資材サプライヤー・メーカー・卸売業者間の商取引に必要なデータ交換を行う事業。
これは私も製造業の経理なので分かる気がします。私の経験した会社では2社とも発注書や検収書、納品書を未だに紙でやり取りしてました。PDFで送ってもらって処理してから原本の紙を送付してもらうという、意味が良く分からない事も普通にやってます。
頻繁にやり取りする会社さんは一つのデータベースで管理できてしまうと、証憑管理が省けたり、いちいち伝票切る必要もなくなって、便利な気がします。
効率化に繋がった実績があるなら、特定分野だけでなくもっと広げてもらいたいものです。
データベース事業
登録してある43万件の取引先と商品のデータを見ることができるそうです。
バイヤーズネット事業
事業者用のアマゾンみたいなサービスですかね。アスクルと似たタイプかもしれませんがアスクルがオフィス用品に特化しているのに対し、同サービスはメーカー・卸小売間の取引に限定しているイメージでしょうか。。
私は仕事でエクセルを使って似たような業務改善とかするのが好きなので、ビジネスのコンセプトはいいな、と思います。ただ、エクセルで改善する時もそうなんですが、実際のユーザーの使用心地が良くない、もしくはメンテナンスが大変だと、むしろブラックボックス化してただ迷惑な存在になる、というケースが多いです。
その辺りは実際にこのサービスを利用している人の印象を聞いてみたいところです。もしその人が凄く良いサービスと感じるなら、同社のサービスはかなり有望ではないかと。
セグメント別
プラネットは事業説明では分類していますが、EDI事業がメインで他の事業はそこから派生した事業という事で、セグメント別の数値出していないようです。
業績推移
経常利益率の推移は26.3%⇒24.1%⇒23.7%⇒24.0%⇒23.9%
安定している上、優良な利益率です。
利益率が高く、ずっとこのビジネスが成立しているという事は、ある程度のユーザーの支持は受けている、と考えても良いのかもしれません。
経営方針
基準となるのは売上高、および営業利益、営業利益率、経常利益率という書き方です。
営業利益率という効率を意識した基準は良いですが、何となくそれっぽい指標をもってきた感が強いです。なぜそれを基準に考えるのか、という意思が感じられません。営業利益率、経常利益率等って何ですか。確かに営業外取引とかやってないならどっちでも似たようなもんですけど、それなら経常利益率ってはっきり言ってほしい。
ただまあ、同社の従業員数を見ると以下の通りそんなに多くないですし、今後大きくしていこうという雰囲気には見えません。
となると、あまり立派な経営方針立てる意味もないです。
組織規模が大きい場合、トップの価値基準を浸透させ、チェックする上で経営指標を明確にする重要なんですが、これだけの人数なら、トップが社員と直接会話できますからね。
あんまり経営指標に拘る必要はない気がします。
キャッシュフロー
フリーキャッシュフローの方はあまり統制されている感じはしないですね。営業キャッシュフローは安定して供給されていますが、投資が管理されている様子が見えません。規模が小さいので管理する必要もマンパワーもないのだと思われます。必要と思ったらやる、金が足りそうになかったらやらない、それくらいの管理でも十分回ってしまいそうな企業規模なのでしょう。。
B/S(貸借対照表)
流動資産の確認です。
現預金が21億円と資産全体の39.0%を占めており厚めです。
次に目立つのは投資有価証券と関係会社株式で、合わせて19.8億円です。
内訳は以下のような感じです。
投資有価証券は結構債券が多い為、安全目の運用をしているだけの低リスク資産のようです。現金同等物とそれほど変わらないと思います。株式の方も一番多いアイスタイルは上場企業ですから売ろうと思えば比較的売るのが簡単な部類です。その他有価証券評価差額金がかなりプラスになってますから、相当儲かっているようです。
関係会社株式の方の評価損益は以下ですが、過去はともかく当期はトントンです。
こうしてみると有価証券と現預金を合わせると、全体の75.7%を占めるので、資産内容はかなり低リスクに抑えられており、問題ないと思います。
次に負債・純資産です。
負債は営業上必要な債務のみで無借金経営のようです。
純資産は29.3億円と順調に積みあがっています。
問題ないと思います。
研究開発活動
研究開発の内容も、金額も地に足がついているな、という印象です。
テーマこそAI、機械学習、ブロックチェーンと流行りもののイメージですが、何をしたいのかが明確で、どう本業を改善するのか、ビジョンがしっかりしているイメージです。ただ「凄そうだからやってみた」というYouTuber的ノリではなさそうです。
従業員について
先に指摘した通り、従業員数の変化から見て、規模の拡大については慎重な印象です。
その代わり、平均勤続年数は長めで平均年収も高いです。
印象としては、かなり保守的かつ社員を大事にする経営者、というイメージです。
まとめ
数値的にかなり手堅いな、という印象です。規模があまりに小規模ですから体質云々の評価は難しいですが、経営者が非常に保守的であまり拡大路線は目指さないタイプではないかと推測されます。
個人的にその考え方は悪くないと思います。
規模の拡大は大抵の場合、質の悪化に繋がりますし、質の悪化は会社の衰退を意味します。自らが理解できる範囲に留まり、社員を大切にすることは経営者にとってある意味漫然と拡大を目指すよりも勇気のいる決断です。
しかし、投資家目線からすると、成長はあまり期待できないため、高い株価で買うと少々物足りない結果になるかもしれません。
本記事は有価証券報告書を元にした筆者の私的見解であり、特定の意思決定を推奨するものではありません。また、内容に対して適切と思われる指摘があれば、迅速に加筆修正致します。
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