企業分析アナトールの株式投資

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キーエンスについての考察⑥~株価(世間の評価)に動じない姿勢~

前回(以下)に引き続きキーエンスの考察です。 

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このシリーズでは、漏れ伝わった「話」だけでキーエンスの在り様を推測し、それを通して複数回に渡り「会社のありたい姿」を考えてみたいと思ってます。

 

本日扱いたい話はこれです。

「株価(世間の評価)に動じない姿勢」

キーエンス創業者滝崎氏へのインタビュー(1991年に株価日本一を達成して)

「株価はしょせん人気指標。知名度があがるのはありがたいですが、浮かれる事はありません。株価なんかよりこっちの方が自慢なんですよ。これ(営業利益率)なんか社員一人一人が付加価値の高い仕事をした証でしょ。こっちの方が私はうれしいですね。(中略)何年かしたら30歳で1000万円は越せる給料を出せると思います。そしてゆくゆくは給料でも日本一にしたいと思ってるんですよ」

 

【参照】

https://harubou-room.com/keyence03/

 

株価、時価総額というもの

株価、時価総額というものは、その会社の評価額を表します。簡単に言えば、その会社が将来稼ぎだすと思われるキャッシュの「期待値」が時価総額で、それを発行済株式総数で割った額が株価です。よって、時価総額が日本最大という事は、会社が将来稼ぎだすであろうキャッシュの「期待値」が日本最大という事になります。それはある意味創業者としては最高の栄誉の一つではないでしょうか。

ただ、一方で時価総額というのはその本質が「市場の期待値」です。つまり、「将来こうなるんじゃないか?」という投資家の期待、推測に過ぎません。

過去の市場の歴史の中では、今後も価値が上がる、という理由でチューリップの球根一つが家一軒と同価値になった事もありました。(チューリップバブルでググってください)

キーエンス時価総額日本一達成は正直驚くべきものではなく、ある意味無難な結果という気がするので、チューリップバブルのそれと同列に論じられるわけではありません。少なくともキーエンスは、日本どころか世界でもトップクラスの企業だと思います。ただ、市場というものは「おかしな斑点のついたチューリップの球根」を「一軒の家」と同価値に祭り上げた事があるほど信の置けない場所だという事です。市場での株価はそのビジネスの真価を計る場所ではなく、滝崎氏が指摘しているように(投資家からの)人気指標でしかないのです。

 

経営者が求めるべきもの

では、経営者が求めるべきものは何なのか。それは結局の所、会社を創業した信念であり理念です。創業した時に一体その会社で何がしたかったのか。それが最も重要です。

元々企業は理念を達成する事が目的なのですから、評価するとしたら、その理念の達成に近づく事を表す指標を採用せねばなりません。

キーエンスの場合、理念が「最小の資本と人で最大の付加価値をあげること」ですから、滝崎氏が付加価値率に最も近い概念である営業利益率の高さを誇る事は実に理に適った事です。

 

ブレない強さ

これは単に会社だけに言える事ではありません。

世間の評価に動じる事なく、自分の信念に向かって生きる事がどれだけ難しい事か。

卑近な例で恐縮ですが、私は自分がやっているビジネスの考え方を伝えるためにこのブログをやっているので、重要なのはPV(ページビュー)ではなく、記事の質です。PV数はあくまで記事の内容が読む人を惹きつけ、来るようになった「結果」に過ぎません。勿論、多く見てもらうに越したことはありませんが、じゃあ、PVを上げるために今ホットな話題である「RPA」を取り上げましょうとか、「仮想通貨」の話をしましょうとか言うのは、本末転倒です。

しかし、もしPV数が爆上げして沢山の人に見て頂けた時に、自分の道を貫けるか、人気を持続したいがために余計な記事を書いてしまうのではないか。

世間から賞賛を頂いた時、それはそれで受け取るとしても、「さて、元の仕事を続けますか」と淡々と言えるでしょうか。。好事魔を生ずとはよく言ったもので、良い事が起きた時、我々はそれに目を奪われ、思わず本質を見失う事が多々あります。

その、「本質を見失わない」という事が、キーエンスが継続して成長し続ける秘訣なのではないか、と私は考えています。

 

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