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キーエンスについての考察⑤~役員・社員と三親等以内の方はご応募頂けません~

昨日(以下)に引き続きキーエンスの考察です。 

rootsbox.hateblo.jp

このシリーズでは、漏れ伝わった「話」だけでキーエンスの在り様を推測し、それを通して複数回に渡り「会社のありたい姿」を考えてみたいと思ってます。

 

本日扱いたい話はこれです。

「役員・社員と三親等以内の方はご応募頂けません」

 【新人の募集要項】公平・公正の観点から、キーエンスの役員・社員と三親等以内(子女、兄弟姉妹、甥姪等)の方はご応募いただけません

【参照】

https://www.keyence.co.jp/jobs/branch/guide/

 

同族経営、非同族経営、そして「異族経営」

一般的に特定の親族などが支配・経営する組織を同族経営と呼び、その対義語は非同族経営です。この非同族経営は血統に拘らない姿勢を指すようで、現在の会社の多くは非同族経営が主流です。ただ、この非同族経営は、「同族だけだと人手が足りないから、どんどん外から人を採用します」という事情の延長でしかありません。

キーエンスの人事方針は新規採用の際に「役員・社員と三親等以内の方はご応募頂けません」と明記しており、逆の意味で血統に拘っているという意味で、非同族経営とも一線を画しています

よって非同族経営と分けるため、ここでは「異族経営」と呼称します。

(ネットで調べた感じではそんな言葉は無かったですが、しっくりくるので)

 

同族経営の問題

同族経営の問題点は、大別して二つです。

①会社の考え方が偏る

会社の経営環境は時代と共に刻々と変化し、人々の価値観も変わっていきます。同族会社は常に最終決裁を持つ者が創業家一族、もしくはそれに近い人たちなので、「創業家一族としての」考えしか生まれません。中には「いえ、私達一族は常に見聞を広めてますから偏りません」という創業家もあるかもしれません。しかし、今偏っていなくとも10年、20年、100年後のその一族の考えが偏っていかない保証ができるでしょうか。

同族会社というのは「見聞が偏らない一族」というあり得ない前提に依存した、歪な仕組みなのです。

 

創業家に阿る社員が増え、合理的な社員が減る

論語の中に、「まっすぐな板を取り上げて、曲がりくねった材木の上に載せておくと、いつの間にか、曲った材木が真っ直ぐになってしまうという」という例えが出てきます。これは逆もまた真です。

その組織をマネジメントする存在が、その見識ではなく血統によって選ばれるのであれば、自然社員は「正しい見識」を求めるのではなく「正しい血統」に阿るようになります。そうなれば合理的判断に不可欠な議論や意見が出なくなり、創業家の御用聞き的な組織になり下がります。

 

異族経営という解決策

同族経営の課題を解決するには単に「うちは実力主義です」「家柄は問いません」などと言葉を並び立てた所で、何の意味もありません。同族の人間が100%実力で役職を勝ち取ったとしても、そこで働いている社員は心から納得しません。仮に実力であったとしても、その実力すら同族の力によるものではないかと邪推するのが人の常です。

つまり、本当に実力主義を名乗りたいのであれば、そういった邪推の介在する余地の無い、フェアな場を設ける必要があります。

それこそがキーエンスが非同族経営ではなく、異族経営を敷く意味ではないかと私は推測します。

 

絶対主義VS民主主義=同族経営VS異族経営

私は絶対主義(絶対王政)VS民主主義の関係と、同族経営VS異族経営の関係は同じだと考えています。

古代から中世に至るまで、絶対王政の国は多数存在し、そのほとんどが政治の腐敗を招いて淘汰されてきました。現代でも王政を敷く国は存在しますが、ほとんどの国は絶対的な王権を排して民主主義を採用することで、著しい発展を遂げています。

これは組織構造でも同じ事が言えます。一部の人間が力を握っている限りその組織はその人間の限界を超える事はできませんが、フェアで合理的な議論ができる環境を保てる組織は、社員の想像力が続く限り、どこまでも成長する事ができます

この原理は、ほとんどの世界を王政が占めていた古代~中世には、基本的な生活はほとんど変わらなかったのに対し、民主主義が全盛となった150年という間で、著しく進歩したという「人類の歴史」が証明しています。

短期的には王政が成果を出す事もあるかもしれませんが、長い目で見た時に民主主義が発展をつつける事は最早、自明の理です。

 

結論:同族経営や非同族経営(血統の同じ人間の入社を肯定も否定もしない)は、会社としての合理性に関する疑念を抱えかねず、異族経営はその問題点を解決し得る選択である。

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