企業分析アナトールの株式投資

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キーエンスについての考察④~営業は結果ではなくプロセス重視~

昨日(以下)に引き続きキーエンスの考察です。 

rootsbox.hateblo.jp

 

このシリーズでは、漏れ伝わった「話」だけでキーエンスの在り様を推測し、それを通して複数回に渡り「会社のありたい姿」を考えてみたいと思ってます。

 

本日扱いたい話はこれです。

「営業は結果ではなくプロセス重視」

「しっかりと市場の先を読み、正しい戦略・戦術を組み立てられるかが問われる」(A氏)。キーエンスではこの「施策」を入社して間もないころから実践し、営業を学んでいくという。「棚からぼた餅式でたまたま営業成績がよくなっても、計画が甘すぎると評価されない。なぜ結果がよくなったか説明を求められる」(A氏)。結果よりもプロセスをしっかり踏めているかが重視されるという。

 

【参照記事】

https://toyokeizai.net/articles/-/257794?page=2

 

 

結果重視企業VSプロセス重視企業

このプロセスを重視する姿勢こそが、キーエンスの力を高め続けている主要因ではないかと私は考えています。

 

「結果だけを重視する会社」というのは、売上さえ上げれば方法は問わない、つまり社員が売上を上げたとしても、その理由は会社として情報が蓄積されないという事です。どれだけ一時的に売上が伸びても、担当社員が消えれば会社にノウハウは何一つ残りません。どれだけ長く会社が存続した所で、能力のある社員が抜ければすぐにダメになる会社という事です。

 

対して「プロセスを重視する会社」は、社員がどういった手法で顧客にアプローチし、どのような資料を用いて説明し、何度客先に足を運んだ、という事象を人事評価のために蓄積されます。情報を蓄積し、社内で共有する仕組みが出来上がっていれば、仮に営業能力がある社員が一人抜けたとしても、会社に過去の履歴、ノウハウが残りますので、会社としては成長し続ける事ができるのです

 

結果重視のリスク

「結果さえ良ければ方法は問わない」という考え方は社員の個性を活かすために有効のように思われがちですが、結果だけ良くともその過程で不適切な手段が取られた場合、企業としてのブランドイメージや信用を毀損するばかりか、違法行為を行った場合は企業としての存続も危ぶまれます。

 

そもそも企業活動は常に理想を求めて進化していくものですから、その活動の全てがプロセスであり結果です。「結果さえ良ければ良い」などというのは、極めて近視的、主観的なモノの見方をしている会社の意見になります。

 

会社の本質

会社の本質とは

①核となる理念

②必要な情報を社員から吸い上げる仕組み

③蓄積された情報

で構成されています。

 

このいずれか欠けていても会社は本質的に成長できません。仮にこれを欠いて成長できたとしてもそのノウハウは属人化しているため、ノウハウを持っている人間がいなくなれば会社はまた元のサイズに戻るか、規模に耐えられず潰れます。

もし本気で会社を成長させ、その長い目で成長を継続させたいのであれば、最優先で①と②を構築すべきです。

(③は①、②ができていれば時間の経過と共に蓄積されます)

 

①、②が作られていない会社を続ける事は、ザルで水を掬うようなものなのです。

 

 次の記事

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