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書籍紹介:渋沢栄一「論語」の読み方

 

渋沢栄一「論語」の読み方

渋沢栄一「論語」の読み方

 

書籍レベル・・・龍 

 

書籍レベルについては下記参照ください。

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書籍のポイントを3つでまとめます。

ポイント①著者、著作について

著者である渋沢栄一は2024年に1万円札になる事が決まった事で、最近知られるようになりました。

(私は十年以上前からこの本を繰り返し通読してるのですが、最近のフィーバーで「にわか」扱いされるので、ああ、自分の推しアーティストがメジャーになると昔の方が良かった、とか言う人がいるのはこういう気持ちなのかな・・・と思いました。栄一さん・・・僕は昔のあんまり知られていない栄一さんが良かった・・・)

渋沢栄一氏の生涯については他にいくらでも詳しいページがあるので、ここではざっくりだけ話します。

渋沢栄一氏は1840年の幕末に生まれました。埼玉の豪農の生まれですが、世の中の倒幕の動きに感化され、自らも志士となり世に出て信念の元に死のうと志を立てます

しかし、家を飛び出してから、よくよく世の中の事を知るうちにどうも志士達の動きは血気にはやるばかりでこうした活動は日本のためにならないのではと思いなおし、後の15代将軍徳川慶喜に仕え、慶喜が将軍となるのに伴い幕臣となります。そして、徳川慶喜の弟である昭武に従い、パリ万博のためにフランスに随行し、世界の文化や技術力を目の当たりにます。これから日本もこうならねばならない、と思い帰国しようとしますが、帰る前に忠義を尽くすべき徳川幕府大政奉還によってその力を失います。

帰国して静岡に隠居する徳川家への忠義を遂げようとする渋沢氏でしたが、フランスで見聞した産業の繁栄を日本で、という志はそのままに静岡で商法会所という銀行や商社のような組織を作り、発展させようとします。

一方で、明治政府は徳川幕府を終わらせたは良いが、今後の日本をどうしていくか暗中模索しており、人材登用が急務でした。外国を見聞し、経済に明るい渋沢氏の話を聞いた明治政府は彼に目を付け、登用を打診します。

徳川家に忠義を尽くす事を誓っていた渋沢氏は、何度も断りますが、主君である徳川慶喜に、新たな時代のために尽くしてほしいという言葉を受け、明治政府に仕える事にします。

渋沢氏は明治政府の官僚として、新たな日本の基礎となる諸々の制度の立案に携わりますが、しばらくしてから官を辞します。理由としては、これからの日本を良くするには、「民間に下り商業を強化しなければならない」という考えからでした。

渋沢氏はその言葉通り、民間に下ってから、実に500以上の企業の創設に貢献し、教育や慈善にも幅広く活動しました。

ざっくり書いてもこの密度の人生です。

そんな激動の時代の中で渋沢氏が磨き続け、絶えず考え続けた哲学を、渋沢氏が後世の若者に残すために晩年にまとめたエッセンスがこの本になります。

渋沢氏のの人生は変節の連続でした。攘夷志士→幕臣→明治政府→民間ですから、一見すると通すべき筋を通さず、流されているだけのようにも見えます。しかしその変節は決して、利己や保身から来るものではなく、状況が刻一刻と変わり、時代がうねり変化する中で、形だけのプライドや忠義に捉われず、自身の信念を貫かんがためのやむを得ない変節だったと言えます。それでも貫き通した氏の信念がこの一冊には凝縮されています。

 

ポイント②幕末の偉人の横顔が見れる

この本は主に論語の内容を解説しながら、渋沢氏自身が経験したエピソードを紹介していきます。渋沢氏が生きていた当時には名の知られた偉人が沢山います。渋沢氏が共に仕事をしたのは、維新三傑と呼ばれた木戸孝允桂小五郎)、大久保利通西郷隆盛の三人をはじめ、伊藤博文大隈重信、山形有朋、江藤新平陸奥宗光近藤勇勝海舟といった幕末に名の知られた偉人・有名人ばかりです。そんな渋沢氏から見た偉人達の評価、横顔が、この本の中で垣間見る事ができます。正直これを読むまでは、幕末の偉人たちを名前の活字のみでしか知りませんでしたが、この本を読む事で、彼らがかつて己の志のために命を懸け、血を通わせた人間であったことがハッキリと感じ取れます。ただその偉人について本で読んだだけでは理解できない、直接会った人間にしか分からない、偉人の生々しさ、人間臭さがこの本にはあります。

 

ポイント③「論語と算盤」という考え

論語と算盤」というのは、渋沢氏が掲げた標語です。

かつて商人という身分は江戸時代、士農工商身分制度で最も低い地位とされていました。それ以前からも商人とは、何かを生み出すわけではなく、左から右に流すだけで利ザヤを得る卑しい存在と低い評価でした。(正直、今でもその価値観を持っている人は多いと思います)しかし、渋沢氏はフランスに渡り、実業家(つまり商人)が社会的地位と名誉を得ている様を見て、「正しい方法で利益を得る限り、商業は国を富まし繁栄させるもの」という確信を得ます。渋沢栄一は幼い頃から読み解き、自らの指針としてきた経典「論語」と、商売の必須道具であった「算盤」を並べる事で、「正しい方法で利益を求める事」を表現し、「論語と算盤」を以て国を富ますという事を目指し、自らの標語としたのです。

そも、商売(ビジネス)とは何のためにあるのか、何のために立ち上げるものなのか、それを自らに問い直す時に必ず一読したい本だと思います。社会起業家を名乗りながら、この本を読んでない人はモグリだと思います。

 

総括

大学の時に読んで感銘を受けて、この通りに生きようと思いました。それ以来、ずっと傍らに置いていましたが、実際に社会の荒波に揉まれる中、これがまったくできないの何の。渋沢氏はこの本の中で何度も、思うばかりで行動が伴わない事を注意しているのですが、本当に行動に移すのが難しい。。今回改めて読み直してそう思いました。。

ただ、できないと諦めてしまっては、日本の未来を後世に託した渋沢氏に顔向けできないので、私も再読し、たとえ一歩でもこれからの生き方を見直そうと思います。