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【2353】日本駐車場開発~有価証券報告書の読み方~

結論

財務状態良し、体質良し。ただし、スキー場事業というしこりをどう処理するかによって今後が決まる。

 

目次

 

事業概要

先ずは日本駐車場開発の事業についてです。

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事業の説明は分かりやすいと思います。こうしてみると日本駐車場開発というグループの意図としては、これまであまりうまく活用されていなかった土地や不動産を活性化させることで利益を得る、不動産系の再生コンサルグループと認識するのが正しい気がします。

ただ、一般的にコンサル業ではリスクは顧客が抱え、自身はアドバイスに止めてフィーを貰うだけ、というのが財務的な強みです。しかし日本駐車場開発はどうも自前の資産を抱えているようです。

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主要な有形固定資産の帳簿金額は以下

駐車場事業:13.4億円

スキー場:29.2億円

テーマパーク:11.0億円

その他:16.0億円

個人的には特にスキー場が要注意かな、と思います。

これらの有形固定資産は売上が減少した時、減損で純資産に直撃する可能性があるので、それに見合う純資産が無ければ一気に債務超過に陥る可能性があります。

その辺りは後で貸借対照表を見ながら考えます。

 

セグメントの状況を見てみます。

 

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割合は

駐車場事業:56.9%(前年対比105.0%、利益率24.0%)

スキー場事業:27.1%(前年対比103.3%、利益率9.5%)

テーマパーク事業:13.7%(前年対比118.0%、利益率18.1%)

その他:2.3%(前年対比169.2%、利益率19.4%)

こうしてみるとスキー事業以外は結構優秀な利益率です。スキー場が問題児感があります。しかもスキー場に関しては先ほど書いている通り有形固定資産を最も抱え込んでいるため、何かあった時に一番怖いのもこのスキー場事業です。

 

 

 

業績推移

経常利益率の推移は17.7%⇒12.4%⇒14.6%⇒15.9%⇒17.0% 

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経常利益率はこの規模の会社にしては十分に優秀な水準と言えると思います。

 

経営方針として、同社はきちんと明確に質的な目標値を定め、目指しています。

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相当高い目標を掲げているため達成こそできていませんが、他社に比較しても高い同社の効率性を維持できているのは、こういった姿勢からきているのではないかと推測します。非常に良い方針だと思います。

 

 

 

キャッシュフロー

フリーキャッシュフローはずっと黒字ですが、とはいえ凹凸が激しい印象です。

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ただ詳細を詰めてみると一応の言い分はありそうです。4、5年前の投資キャッシュフローがプラスになっている事については、スキー場会社を子会社化や投資有価証券の売却による一時的なプラスでした。2、3年前には定期預金の預け入れなどのなんちゃって投資が含まれているため、ギリギリまで投資に振り分けているというわけではないようです。つまり、直近のフリーキャッシュフローが本来の稼げる能力といえます。

まあ、とはいえ、投資有価証券の売却やスキー場の連結などの経営判断の結果、キャッシュフローが不安定になっている事には違いないですから、そのあたりは注意が必要です。

 

 

 

B/S(貸借対照表

先ずは流動資産状況の確認です。

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現預金が117.2億(全体の47.6%)というのは、有形固定資産をかなり抱えている会社としては、手厚い感じがします。

ただ一方で怖いのは、売掛金棚卸資産、投資有価証券という減価しやすい資産も合計すると、18.8億円と結構多いです。

それと有形固定資産が81.4億円(全体の33.0%)あります。そのうちスキー場が29.2億円というのは少々怖い感じがします。要するに不良資産が固まり、将来的に大きな減損となる可能性があります。その辺りも純資産と対比しながらリスクを見ていく必要があります。

 

負債と純資産を見てみます。

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有利子負債は63.0億円です。現預金が117.2億円の会社ですから、無理のない範囲の借金ではないかと。

しかし純資産が92.4億円とかなり手厚いです。これなら先ほど指摘した資産欄のリスク資産達100.2億円(売掛金棚卸資産、投資有価証券、有形固定資産)がよほど減損しない限りは債務超過に陥る事は無いと思われます。

その点はかなり手堅い財務管理をしているといえます。

 

 

 

スキー事業

 

 ここまで数値をざっと見ていると、やはりネックとなるのはスキー事業なのかな、と思います。有形固定資産の金額が大きいのに(だからこそ?)、一番利益率が低い事業になっています。そうなると今後どうこの事業を立て直すのか、という観点が重要になってくるのですが、経営の方針は以下。

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拡大していく気満々です。。現状の利益率を見るに、拡大すればどんどん後に引けなくなり、傷口が広がるだけのような気がするんですが。。その辺りをどう考えているのかが少々謎です。

来場者数などでは、ところどころで落ち込んできている部分もあるようです。

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こういった所を整理、もしくはテコ入れもせずに、拡大拡大で全体で成長しても、会社全体の体質が悪化していくのではないかと懸念されます。

 

 

 

従業員給与

従業員給与が若干低すぎないかと思います。

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年齢が若いという事も勿論あるのでしょうが、しかし日本駐車場開発事業の内容はコンサルティングによる再生事業と言えます。事業内容を考えた時にこの平均年齢と年収で、その役割を担える人材が集まるのでしょうか。この年収金額は一般的に給与水準があまり高く無いとされる派遣社員の方とあまり変わりないように感じます。

勿論、仕事というのは給料だけでモチベーションを上げられるものではなく、職場環境やトップの人間力といった面も重要です。ただ、そういった要素を定量的に見られる唯一の指標である給料が同業者(コンサル系)に比してあまりに低すぎると、劣悪な環境なのではないかと少々懸念されます。

 

 

 

役員の状況

創業者の巽氏は1968年生まれ、副社長の川村氏は1964年といった具合で、専務、常務の方々もそれなりの世代の方なので、まあそれくらいかな、というイメージなのですが、以下の方々はかなりお若い印象です。

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特に取締役のグリーン エリック幸太郎氏は凄く若いですね。。私より年下で驚きました。経営層に若い世代を抜擢する事は非常に良い事であると私は思います。経験こそ高齢の経営者には及ばないでしょうが、過去の経験が無いという事は、過去の経験に囚われない自由な発想ができるという事です。

徒に新奇を追うような若い世代では困りものですが、深く物事を洞察し、経験則ではなく本質論で考察できる若者であればどんどん経営に意見を取り入れていくべきです。経営は過去の延長でするものではなく、本質的な議論の上で組み上げるものだと私は思います。本質的な議論ができるかどうかに年齢は関係ありません。

 

 

 

まとめ

財務体質は良好であると言えます。そして経営の体質も、要所要所を抑えているのを感じます。個人的には資産の中で有形固定資産や投資有価証券などのリスク資産が気になりますが、それもビジネス自体が上手くいっている間は致命傷にはならないと考えます。

ただ、全体を通して感じているのはスキー事業が重荷になっている印象です。これに対しての経営陣の判断もあまり適切とは思えません。

つまり、過去からの蓄積としての業績や財務体質は良好なのですが、今抱えているスキー事業に対する対応に慎重さや冷静さを感じません。その辺りがしこりのように残っている印象です。

 

本記事は有価証券報告書を元にした筆者の私的見解であり、特定の意思決定を推奨するものではありません。また、内容に対して適切と思われる指摘があれば、迅速に加筆修正致します。

 

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