企業分析アナトールの株式投資

企業分析の「正しい答え」を教えるブログではなく、「答えを探して藻掻く姿」を見せるブログ

【3031】ラクーンHDの分析につきましてお詫びと訂正、今後の方針

弊ブログでは1日1社を目安に、有価証券報告書からその体質(理念の質、経営者の考え方、財務体質、利益体質、コーポレートガバナンスなど)について、ブログ主の独断と偏見及び、経理系の知識を駆使して分析してみる取り組みをしております。

その中で、7/25、8/22に行った【3031】ラクーンHDの分析において、結論に繋がる数値認識に致命的な認識ミスがあると判断できたため、記事を削除致しました。

以下に経緯をまとめますと共に、このブログを見てくださった方、並びにラクーンHD関係者の方々に僅かでも誤解やご不快な思いをさせてしまったことを深くお詫び申し上げます。

 

 

認識齟齬の部分説明

7/25、8/22の結論をまとめますと、「ラクーンHDの状態がおかしい」という結論でした。その根拠として最大の焦点は「ラクーンHDの売掛金が、売上高に対して異常に多い」というものです。

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上記を見てお判りいただける通り、ラクーンHDの売上34.8億円に対して売掛金42.1億円が存在しております。

売掛金がどれだけ滞留しているのかを測る指標として、売掛金滞留日数があり、算式は=売掛金/売上×365日で、一番古い売掛金がどれだけ滞留しているのかがざっくり見えます。

ラクーンの場合は42.1/34.8×365=441日という事で1年を超過しております。

通常の回収の流れでは、業種にもよりますが、長くとも4か月(120日)ほどが一般的です。これが滞留している場合、売り先の財務状況が良くない事が懸念され、貸倒のリスクが内在するためです。

しかし、異常な滞留期間の売掛金を持っている根拠を有価証券報告書内の記述から見つける事ができず、冒頭の「ラクーンHDの状態がおかしい」という結論に至りました。

 

指摘事項概略

この結論に対し、本日8/22朝にこの記事をご覧になった方より認識の誤りを指摘された概略が以下です。

ラクーンHDの取引のうち、例えば業者間の回収代行を仲介する事業の仕訳が以下のようになる」

例:10,000円の回収代行した場合、手数料が3%なので売上は300円分のみ計上

売掛金:10,000/買掛金9,700

       /売上   300

一般的に、売掛金と売上は1対1で対応することがほとんどなのですが、この取引の場合、形としては一時的にでも全債権債務をラクーンHDが担うことになるため、売上に対して33倍の売掛金が立つことになります。

上記のような仕訳例は金融のみではなくEC事業にも存在するとのことです。

(なお、この売掛、買掛の両建分は、通常の支払サイクルであれば売掛金が先に入金され、その後買掛金の支払に入るため、延滞、貸倒さえなければ、資金繰りに何ら影響をもたらさない、との事)

こういう状況であると、単純に売掛金/売上の数値では、その滞留期間がはかれない、測っても意味がない、つまり私の論拠の前提である回収期間が誤りである、という事になります。

 

指摘を受けての弊対応

私もネット上の素性の知れない方のご意見で、コロコロと自身の結論を変えるわけにはいかないため、上記についてそういう処理をしている、と分かる記載を探しましたが、見つけられませんでした。

ですが、ラクーンHDが決済仲介というビジネスを行う以上、一時的にでもラクーンHDに債権債務の両建て分が載ってくる筈なので、B/S上、他にそれらしい債権債務が存在しないのであれば、消去法的に売掛金と買掛金の両建の仕訳が行われていると推定でき、結果、このご指摘がおそらく正しいであろうこと、少なくとも私が出した根拠は誤りであったと悟り、諸々の事情を鑑みて記事を削除した次第です。

 

架空計上の示唆

また、「売掛金が積みあがっている事の危険性」を説明するために、過去実際にあったFOIという会社の売掛金の架空計上の例を挙げて説明しました。

私としては売掛金が積みあがった際のリスクの具体例を挙げただけで、現状の論拠だけでラクーンHDの架空計上を断定する書き方をした積りは無かった(風説の流布や、根拠のない中傷にならぬように注意している)のですが、私の記事を読んだ多くの方がラクーン=架空計上と認識されたようです。

その点も、私のリテラシーの至らない所で、誤認識を与えてしまい誠に申し訳ございませんでした。

 

別の方の追加指摘(競合分析について)

また、上記とは別の方より同業他社との比較くらいして意見を述べろ、という旨のご指摘がされました。

ただ、この指摘に関しては現状の当ブログ方針としては「No」と考えております。

今回のケースで言えば、具体的にこの指摘者様が挙げてくださったラクーンHDのEC業界の競合と比較した場合、以下の通りになります。

売掛回収日数

ベルーナ:19日

スクロール:48日

ベガ:44日

同業他社比較を単純に信じるのであれば、ラクーンHDの嫌疑は増々深まります。

ただ、現実には各社ともラクーンHDとやっている事もセグメントも違い、部分的な比較もできないため、同業他社といえどこの横並びの相対比較は少なくとも私はあまり意味が無いと考えます。

それぞれの状況を鑑み、絶対評価としてどうあるかが重要ではないか、と考えます。(あくまで私の考え方であり、これを絶対正義とする積りはございません)

 

また、競合他社との比較は「赤信号みんなで渡れば怖くない」的発想を助長すると考えます。例えば不動産会社は一般的に営業キャッシュフローが赤字になることが多く、資金繰りに大きな不安があります。

これを同業他社と比較した場合、「他よりはまだよい」といった認識が入ります。しかし、私は資金繰りの悪さは企業の体質の弱さであり、営業キャッシュフローがマイナスなのは、他社云々や金額の多寡にかかわらず問題であると考え、そのような絶対値分析をしているつもりです。そのせいで本当に類似の企業は同じこと書いていると思います。

 

今後の方針

最後に今後ですが、先ずラクーンHDに関する分析は、当記事を以て打ち切りと致します。

理由は二つです。

①意図はともかく架空計上の不安を煽り、どのツラ下げて再分析できるのか。

②この指摘を受ける過程で有報以外の一般的でない情報を入手しすぎ、私がその印象に引きずられる恐れがあり、当ブログの趣旨に沿わないため。

(当ブログはあくまで有価証券報告書に書かれている内容を基礎として分析するもの)

 

そして、今後もこの取り組みを継続する積りです。

正直こういう間違いを今後も犯さないとは限らず、被害を被った方からすれば「コイツ性懲りもなく」と思われるかもしれません。

ただ、途中で大間違いを犯しつつも、この取り組みで企業分析の大きなたたき台を作れれば、違う部分はどんどん叩かれて、直され、様々な人が企業の実態を深く理解する参考になるのではないか、と期待を込めています。

自業自得とはいえ皆さんやはり企業に熱意が凄い方が多いんで、間違いを責められるのも、ホントにメンタルにきますが、とりあえず続けられるだけ続けてみます。。

 

終わりに

この度は私の未熟さゆえ、このブログを見てくださった方、並びに関係者の方々に僅かでも誤解やご不快な思いをさせてしまったことを、改めて深くお詫び申し上げます。

最後に定型文ですが、繰り返させて頂きます。

本記事は有価証券報告書を元にした筆者の私的見解であり、特定の意思決定を推奨するものではありません。また、内容に対して適切と思われる指摘があれば、迅速に加筆修正致します。

 

ほんとに皆さん見てくださるのは有難いんですが、マジでこういうミスするしょうもないブログ主なんで。。ほとんどフィクションくらいに思ってください。

頑張るんですけどあんまり期待しないでください orz