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【3387】クリエイト・レストランツ・ホールディングス~有価証券報告書の読み方~

結論

財務、体質、共に危険領域

 

目次

 

事業概要

先ずはクリエイト・レストランツ・ホールディングスの事業についてです。

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社名からしておおよその見当はつきますが、事業内容はレストランをクリエイト(創造)して経営しているようです。ここまで分かりやすい会社も珍しいですね。 

 

セグメント別、というか店舗別に利益率、採算などを見てみたいところではありますが、同社は飲食事業以外の報告セグメントがないため、記載を省略しているとのことです。

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その代わり、店舗をいくつかのカテゴリーに分けて管理をしているようです。

 

経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析の部分で、売上高もカテゴリーごとに記載してありますから割合を出してみると以下の通りです。

CR(商業施設向けレストラン運営受託):37.0%

SFP(居酒屋運営):28.7%

専門ブランド(専門店系、特化型):28.0%

海外(海外出店):6.4%

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居酒屋で磯丸水産は私も使ったことあります。ただ、私はあまり外食をしないので、他の店はあまり聞き覚えがありません。私が世間知らずなのか、あまり知名度がないのか。。

それはさておき、私が気になるのはこの部分

 

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M&A(買収の事)多くないですか?

1年で238店舗って・・・いったい何がしたいのでしょうか・・・。

 

 

 

業績推移

IFRSに代わってから日が浅いので3年分しかありませんが、利益率の推移は5.1%⇒3.1%⇒2.2%とかなり低くなってます。元々飲食業は利回りが低くなりがちですが、とはいえかなり厳しいです。。

先ほどの活発なM&Aの効果も出て、見かけは増収です。ただ税引前利益は下がるという、あからさまに効率ではなく規模を追いかけている感があります。

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 まあ、効率を重視する会社が1年で238件もM&Aするわけないですね。

 

経営方針を見ればさもありなん。

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連結売上収益を買収によって伸ばす事を宣言しておられます。

飲食業界は利益率は低いですが、一方で現金商売なのでキャッシュフローが潤沢ですから、潰れにくい特徴があります。ただそれを差し引いても、よくこんなイケイケどんどんな経営者がこれまで会社を潰さずにこれたな、と逆に不思議です・・・。何か超常的な天運を持ってらっしゃるのかもしれません。

さらに痛々しいのが②のEBITDA。

あまりこの数値についてご存じない方もいると思うので、簡単に説明すると、EBITDAは税引前利益+支払利息+減価償却費※という算式で求められる利益概念の一つです。

※店舗などの固定資産を数年で規則的に経費化する費用=キャッシュアウトが無い費用という誤解があるが、実際はキャッシュアウトが先にある費用

国によって金利水準、税率、減価償却方法などが違うため、国際的企業の収益力は一概に比較することができないため、それらを差し引いて比較して買収を検討するというのが、この概念の存在理由です。

ただ私はこの指標、全く意味がないと思ってます。

具体例を挙げてみます。

①高級フレンチのお店と、②ラーメン屋があるとします。

どちらの店も非常に客が多いので、どちらかを買収しようと考えました。

 

①高級フレンチ

売上:500万円

原価:▲200万円

人件費:▲100万円

減価償却費:▲300万円

利益:▲100万円

 

②ラーメン屋

売上:300万円

原価:▲50万円

人件費:▲100万円

減価償却費:▲50万円

利益:+100万円

 

さあ、貴方ならどちらの店を買収しますか?

私ならラーメン屋を選びます。

何故なら利益が出ているからです。

しかしEBITDAを指標に用いる人は違います。

EBITDA的に見ると高級フレンチは200万円、ラーメン屋は150万円ですから、赤字の高級フレンチを買収するという超理論が成立します。

買収した後、この減価償却費分の高級感あふれる家具、店舗を撤去して、それでも売上が落ちないという自信があるならその選択は間違いではないですが、現実的には減価償却費はれっきとした必要コストです。それを除かない利益概念など何の意味もありません。

この概念は、M&Aの時に用いられることが多いです。

ただ私はこれは、赤字の会社を買収させて手数料を得たい仲介会社が使った方便、例えば「この会社、一見赤字に見えるじゃないですか~。でも実はホラ、EBITDAは凄く多いんですよ~」みたいな話を真に受けた買い手が、指標を訳も分からず乱用しただけだと推測しています。

EBITDAは17年前のワールドコムの破綻でその問題点が明るみになり、EBITDA信者はことごとく死滅したと聞いていましたが・・・まさかまだ信じる人が残っているとは驚きです。もっとも、その問題を承知の上で、自らの成果を喧伝するための道具としてこの指標を採用している(自分たちを評価できそうな利益概念を探した)可能性もありますが、良くない兆候には違いありません。

 

話が脇に逸れましたが、何にせよ、この経営方針は私的にナシです。

というかこれはもはや経営方針ではありません。

買収方針です。

 

 

 

キャッシュフロー

キャッシュフロー、あからさまに積極投資してます。それ以前で見ると2016年くらいにどかんと営業キャッシュフローを超える投資をしています。数年おきくらいにまとめて買収をしなきゃならない社内ルールでもあるのでしょうか。。

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B/S(貸借対照表

貸借対照表を見ると、やはり非流動資産が多いですね。全体の82.7%が非流動資産です。現金商売の飲食店だからこそどうにかお金が回ってますが、これで客足が途絶えようものなら、えらい事になりそうです。

コロナで潰れても不思議はないですね。

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さらにM&Aを大々的にしているという事で絶対あるだろうな~と思っていましたが、やはりありました「のれん爆弾」。しかも245億円という特大サイズです。。

私は「のれん」という会計概念を一切信用しないので、会社評価の際は純資産からその金額を差し引きます。つまり、241億円の純資産しか持たないこの会社は、事実上の債務超過だと私は思います。潰れる潰れないは金回りの問題ですから、客足次第でしょうが、もう財務的には倒産まで数歩のところまで来ていると思います。

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まとめ

う~ん・・・という感じです。

個人的には同社は数年内に潰れても不思議ではないと思うんですが、ただ、飲食のような現金払いの商売は潰れにくいです。場合によっては債務超過に陥っても存続してしまえます。なのでこの会社はもうダメだ、とは言いませんが、財務的には関わりたくないレベルです。また、経営方針にも私は賛同しかねます。

私はあまり他人の選択に口を挟むのは好きではないですが、もし私の友達に、同社に投資したり就職・転職しようとする人がいたなら、とりあえず説得は試みます。

 

本記事は有価証券報告書を元にした筆者の私的見解であり、特定の意思決定を推奨するものではありません。また、内容に対して適切と思われる指摘があれば、迅速に加筆修正致します。

 

企業分析リンク

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