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【2127】日本M&Aセンター

結論

財務強靭、文句なく優良。

 

目次

 

事業概要

先ずは日本M&Aセンターの事業についてです。

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事業内容はM&A仲介業ですね。深刻な後継者問題、先行き不安問題をを抱える中堅・中小企業の情報を得て、一方で継承したい企業とマッチングして利益を得るスタイルですね。

 

細かいんですけど私は以下の一言が好きです。事業に対する矜持を感じます。

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事業内容は物凄く詳細に書かれてます。

このまま顧客への説明資料に使えそうなレベルですね。

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アメリカだとゴールドマンサックスみたいな投資銀行が巨大な買収を仲介しているイメージのM&A事業ですが、日本M&Aセンターではメインターゲットを中堅、中小企業にして専業でやっているイメージですね。
少子高齢化の日本では後継者問題が沢山あると聞きます。信頼できる社員ですらなかなか得られないのに、自身の後継となる経営者などそう簡単には見つかるものではない。後継がいないくらいなら、いっそどこかの会社に買収してもらい、管理してもらった方がお得意さんに迷惑をかけないで済む、というロジックでしょうか。

しかし、事業説明に「譲渡企業受託」と「買い手への提案」の着手金の相場まで書くというのは凄いな、と思います。経営者が公明正大である事の表れかと思います。

 

セグメントはM&Aコンサルティングだけの単一セグメントです。

非常に分かりやすいです。

 

業績推移

業績は恐ろしく優秀ですね。

 

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経常利益率も51.6%⇒48.1%⇒47.6%⇒47.4%⇒44.0%

売上が増えるにつれて若干悪化していますが、それでも40%超というのは尋常ではありません。確かにM&Aは儲かるというイメージはありますが、ここまでとは。。

 

ちょっと嫌なのは、数値目標を経常利益150億円という絶対額で捉えている点です。

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絶対値での目標設定は、必ず体質の悪化を招くと思います。

事実、まだ高利益率とはいえこの5年で経常利益率は下落してきています。

体質の悪化で怖いのは、一度悪化し始めると止めるのは容易ではないという事です。

規模を求める体質は、規模を求める人材を登用し、登用された人材はまたさらに規模を追い求める、というのが悪化のパターンです。

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従業員はこの5年で2.3倍に増えています。

コンサルビジネスは人材が全てです。

果たしてこの採用ペースでビジネスとしての質を保てるのでしょうか。

現状高い利益率の会社であっても、これは若干の懸念です。

 

キャッシュフロー

キャッシュフローの推移を見てみると、フリーキャッシュフローが赤字になっているのがちらちらありますが、これに関しては全く問題ありません。

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投資活動によるキャッシュ・フローが定期預金の預入という「なんちゃって投資」です。設備投資は一切ないのでほぼ営業キャッシュフロー=フリーキャッシュフローという潤沢なキャッシュの流れです。

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B/S(貸借対照表

次に資産状況の確認です。

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資産の86.7%が現預金、有価証券です。

低リスクな資産ばかりなので、多少他の資産で損が出たところで、ビクともしないでしょう。

 

負債の方も大きな問題はありません。純資産もかなり蓄積してます。

ただ・・・長期借入金を合計で25億円借りてます。

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いや、普通に考えて要らないでしょう。。

130億の手元資金ある会社がなぜわざわざ金利を払って25億円を借りるのか。

どこかに理由が書いていないかと思いましたが、見つけられませんでした。

 

ここからは私の勝手な推測ですが、同社はM&A案件を見つけるために、同社は金融機関と連携を取っています。

 

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昔は銀行には預金を預ければ喜ばれたようですが、現代のようなマイナス金利時代、金融機関に最も必要なのは、預金ではなく優良な貸付先です。

よって、いくつかの情報をくれる金融機関に対して、安定的な手数料代わりにお金を借りて金利を払っているのではないかと。

これはあくまで推測です。

預金130億ある会社が金を借りてる理由など、それくらいしか浮かびませんでした。

何にせよ、預金130億の会社が25億借りていても対した影響はないと思います。

体質的にはスルーで良いと思います。

 

従業員の状況

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当然ながらコンサルなので給料は高いです。

勤続年数は3.8年と短いですが、ここ5年で従業員が2.3倍になっていますから、当然と言えば当然かと思います。

問題は、この5年で急増した人員が1,414万円という年収に見合う働きをするかどうかです。今後業績が鈍化してなお人員が増えていけば、少々危険な兆候かと思います。

 

配当政策

一株当たりの利益に対して、配当金にする割合を配当性向と呼びます。

同社の一株当たり純利益は55.13円です。

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それに対する年間配当が23円ですから、配当性向は41.7%になります。

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これも結構悪くない率ではあるんですが、個人的にはまだまだ上げられる気がします。

同社は長期を合わせれば306億円の現預金、有価証券を持っていて、負債は83億円です。全ての負債を返済しても223億円残ります。

今の人員を全て維持するとしても給与は1,414万円×415名=年間58.7億円

(勿論経費は給与だけではありませんが、コンサル業継続の上でマストなのは給与)

何もしなくても4年は食っていけそうなこの余裕。

特に将来的に、M&Aや研究開発投資などが嵩張るような業種でも無いのに、このようにキャッシュをため込むのは、経営効率的にもいかがなものかとは思います。

勿論、キッチリ稼いで配当もしっかり出している会社にもっと配当出せ、なんてのは贅沢な話ではあります。ですが、将来的なリスクのために、いくら資金を残しておくべきかなど、資金効率の面まで踏み込んで「何故、配当をその額にするのか」を説明してもらえると、企業としての質がぐっと上がるのではないかと思います。

基本的に投資家はステークホルダーの中で一番後回しにされがちで、今の手元資金を株主に還元しようと思ったとき、何故自社株買いではなく配当という形なのか、何故配当額をその額にしているのか、を説明できる企業を私はほとんど知りません。これは世の経営者の怠慢ではないかと思います。全てのステークホルダーに対して誠実に向き合ってくれる事を期待したいです。

 

まとめ

若干最後かなり無茶な要望を書きましたが、日本M&Aセンターは文句のつけようのない優良企業だと思います。

目標に効率を入れず急拡大しているという部分は個人的に不満ではありますが、直近の決算短信を見てみると売上は上昇しながらも、経常利益率は少しだけ回復して、45.2%でした。体質として明らかに悪化している様子は見えませんから、規模拡大でもある程度の付加価値を保てるだけの文化、ビジネスの強みを持っているのかもしれません。

今後も無茶に規模を求め、人員を増やし続けると少々心配ではありますが、少なくとも直近ではどうこう心配するようなヤワな体質ではなさそうです。

就活生、転職者、投資家に十分お勧めできる立派な会社だと思います。

 

本記事は有価証券報告書を元にした筆者の私的見解であり、特定の意思決定を推奨するものではありません。また、内容に対して適切と思われる指摘があれば、迅速に加筆修正致します。

 

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