企業分析アナトールの株式投資

企業分析の「正しい答え」を教えるブログではなく、「答えを探して藻掻く姿」を見せるブログ

読者からのコメント回答②

先日、9621建設技術研究所の分析について、読者様よりコメント頂きましたが、おそらく他の読者の方も関係する内容のため記事で回答します。

コメント内容

ネットサーフィンマン

昔からのホルダーですが、買収についての箇所はごもっともなご指摘です。この一年は利益が出てきて幾ばくか安心はしています。
結局は株価としてどうなのかであって割安か否かが十分されていないと思いますよ。同業他社と比較する中で売上と利益の成長は素晴らしく評価が十分されていないと私は思います。

 回答内容

ネットサーフィンマン様

弊ブログをお読み頂きありがとうございます。

ご指摘頂いた点はまさに仰る通りで、当ブログでは基本的に割安かどうかの議論を入れておりません。これは実は、されてないというか意図的に避けております。

順を追って説明させてください。

まず実際の投資における私自身のスタンスは「価値より十分安い価格で購入する」という事で割安性を重視します。手順としては以下の2段階です。

①価値を測る

②価格が価値よりずっと低いと思うものを買う

当ブログでやっている企業分析は①の一部に相当しますが、どれほど①ができても②を誤っては投資のリターンは出ないと思います。

例えば私がマッチの香りを嗅いだだけでマッチの品質が分かる異能の持ち主だったとしても、その異能だけでマッチ売買で儲ける事はできません。そのマッチを@1万円で仕入れたら、誰にもマッチを売れず私は間違いなく破産します。(より高く売ろうとする人には売れるかもしれませんが、常識的に考えればどんなに品質が良くても1万円のマッチなんて買いません)逆に多少質が悪く火が付きにくいマッチでも、1円で仕入れる事が出来たなら、大儲けできる可能性があります。

ここが今回のコメントを記事にすべきと思った理由で、他の読者の方にも当ブログを誤解しないで欲しい部分です。

当ブログで高評価の会社があり、実際その分析が的を射ていたとしても、それを利益や純資産の数百倍の値段で購入したとしたら、多分儲からないと思います。実際ここ数年はそういう会社がゴロゴロしてました。

ならばなおのこと、それを論じた方が読者にとってのメリットが増えるのではないか、何故分析記事として②について論じてないのか。

結論から言えば「割安かどうかは読者様の状況によって変わるため」です。

例えば利息が10%の債券があったとして、これを5%も貰えれば十分という人もいれば、20%は欲しいという人もいると思います。5%の利回りで十分と思う人にとっては10%の債券は割安だし、20%は欲しいという人から見れば10%の債券は割高です。また、金利の状況もゼロ金利の時とバブル絶頂期の金利では最低限求められる利回りは全く違ってきます。「今」の「私」の割安、割高の判断が記事を読む読者の基準と合致している保証は無いわけです。

私は基本的にこのブログを企業分析・研究の蓄積発信の場としており、今後もWeb上にずっと記録を残していく積りのため、その時の経済状況や読者の立場によってコロコロ変わってしまう部分について言及するのは、読者に余計なミスリードを与えてしまうリスクがあると思い、企業分析を始めた初期に分析項目から割安性を外しました。

(便宜上、割安性について言及する事もありますが、なるべく避けてます)

その代わりと言ってはなんですが、応援下さる方向けには有料レポートを発行して、私が実際に買った会社や単価を公開したり、多少タイムリーな割安性についても言及してますが、これもあくまで参考にして頂く程度の認識です。

Free-EX Report(2020年版)|企業分析アナトール|note

Free-EX Report(2021年版)|企業分析アナトール|note

基本的に今の当ブログの趣旨は、一般の方にはあまり馴染みのない会計の知識を下敷きに、私個人の経験や考え方を元に企業に対する分析を読んでもらい、参考にしてもらう事です。実際の買値などの判断は自身でやってもらう、というのがこちらの意図する当ブログの使用方法となります。

今のところは、ですが。。

正直、私もブログ運営はこのブログが初めてでして、何が正解なのかを探り探りやってるので、もしかすると今後方針がまた変わるかもしれません。できれば私はこの企業研究活動を本業(ビジネス)にして生活できるようになりたいと思ってますので、もし私も読者様もWin-Winになるような形で収益化できる方法が見つかれば、さっさとやり方を変えてしまうかもしれません。

ただ、当面は収益=コストの過疎ブログですので、そういう用法で読むものという認識で居てもらえると助かります。

 

なお、この回答についてはネットサーフィンマン様のコメントを否定するものでも反論するものでもなく、むしろこうした自らの主張を伴う異論、反論は歓迎致します。そうしたコメントがある方が、この記事を読む読者様にとっても多様な意見を見れて有益でしょうし、私も必要とあらば記事自体を修正します。

ただできれば、そのご意見を具体的にして頂くと、その正当性が証明され、より有益になるように思われます。今回で言えば、業界平均が大体どれくらいの成長をしているのに対し、同社がどのような伸びをしている、ご自身は前提として何を基準に割安、割高の判断をしている、などがありますと、他の読者様も「なるほど」と得心がいくのではないかと思われます。そのことを記載しているブログ記事紹介でも結構ですので、是非ともご意見を賜れれば幸いです。