この記事は、主に就職活動中の学生向けの記事です。
今回は一見すると、大体似たような会社なのに、財務分析をしてみると全然中身が違う、というケースを紹介します。
以前私は投資家目線で空運株であるJALとANAとSFJを比較してみました。
www.freelance-no-excelyasan.com
JALとANAは似たようなイメージですが、同じ業界であっても会社によって全然体質が違うんだよ、だから財務分析はしといた方が良いよ、という事を就活生向けに書こうと思います。
目次
いつも通りのチェック
先ずは前回の通り、利益額をチェックしてみましょう。
ANAホールディング
JAL
どちらの会社も立派に黒字です。
強いて言えば若干ANAの方が利益の増減が激しいでしょうか。
売上高がANAの方が大きいのに、利益は5年間で4勝1敗とJALが勝ち越してます。
では、キャッシュフローを見てみましょう。
ANAホールディング
JAL
いずれの会社も営業活動によるキャッシュフロー単独ではきちんと稼いでいます。
そもそも航空会社は基本的に現金商売で仕入れなども無いので、営業活動によるキャッシュフローは黒字になりやすい体質です。重要なのは、この営業活動によるキャッシュフローが、航空機といった投資キャッシュフローを賄えているかどうかです。つまり、フリーキャッシュフローが黒字なのかが、重要になっています。
以下がフリーキャッシュフロー(十億円単位)をまとめた表になります。
見てわかる通り、JALは安定したフリーキャッシュフローを稼ぎ出していますが、ANAは稼げる年と稼げない年があり、資金的に安定していません。
こうして見ると、財務体質の違いが一目で分かります。
財務体質の違いは会社の体質の違い
財務体質の違いはなぜ起こるのか。それはひとえに会社の体質です。会社の状況をきちんと把握し、会社の状況に合わせた投資やコスト管理をしていれば、基本的に会社は安定した利益を積み重ねることができ、内部留保を蓄積することができます。
この数値を見る限り、JALの体質はANAの体質よりずっとコストと投資を管理する仕組みができていると言えます。
しかし、JALは10年前、一度破綻しています。そんな会社がなぜたった10年で今これほどしっかりとした経営管理ができているのでしょうか。
そこには破綻時にJAL復活の指揮を執った「レジェンド経営者」の力量があると私は思います。
偉大な経営者は会社の体質を変えてしまう
JALが2010年に破綻した際、政府はとある経営者にその再建を託しました。京セラ・KDDIといった巨大企業の創業者であり、新・経営の神様(元祖はパナソニック創業者の松下幸之助氏)の呼び声が高い稲盛和夫氏です。
そもそも稲盛氏は京セラで「アメーバ方式」と呼ばれる経営体制を築き成功した方です。「アメーバ方式」はざっくり言うと、会社を複数のアメーバと呼ばれる小組織の採算部門に分け、それぞれで採算を取れるようにする、コスト管理と社員の当事者意識を突き詰めた経営方法です。
JALは破綻するまで、収支を見る上では路線ネットワーク全体を単位として捉えてきており、個別の路線収支は重視されてこなかったそうです。つまり、ドンブリ勘定でやってみて、「最後に黒字なら良いじゃん」といったイメージです。
この放漫経営に対し、稲盛氏は「アメーバ方式」の概念を下敷きにした、徹底的なコスト管理の方法をJALに植え付けたものと考えられます。今のJALのキャッシュフローの安定管理がそれを物語っています。
偉大な経営者は会社の体制を変え、会社の体制は財務体質を変えるのです。
まとめ
私はこの財務分析の結果で全ての航空業界志望の方に対して、JALに就職しろ、とは思いません。JALは10年前の破綻以降、存続のために様々な優遇を受けたために、周囲からの視線が厳しく、社員に対する様々な特権を廃止し、給料もカットされました。今はどうなのか分かりませんが、ANAに比べれば待遇が良くない可能性もあります。
参考記事:https://www.nippon.com/ja/currents/d00051/
しかし少なくともこの財務分析から言えるのは、再び危機が来て、ANAとJALのいずれかが潰れるという状況になったならば、生き残るのは間違いなくJALである、という事です。
当ブログは企業の課題や理想を考えてマンガにしたり、企業の分析を記事にしたりしているので、もしご要望があり都合が付けば、企業の財務分析などもやろうと思います。奮ってコメントください。
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